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団体交渉(2)

2017-06-18 09:17:28 | Library
義務的団体交渉事項
労働組合から団体交渉を申し込まれたら、使用者はどんな議題でも受けなければならないかというと、そうではない。
使用者が団体交渉に応じることを義務づけられる事項のことを「義務的団交事項」という。
具体例は後述するが、団交義務が生じないものは、例えば「労働法充実の要求」などという政治的な問題など、当該使用者にはどうしようもないようなものである。
もっとも、使用者が任意に交渉に応ずるのであれば、どのような事項でも団交の対象にはなるが…。

義務的団交事項の具体例
1、労働条件
労働条件その他の待遇に関する事項は、すべてが義務的団交事項にあたる。
賃金(月例賃金、一時金、退職金等)、労働時間(労働時間、休憩、休日、休暇等)、労働環境(労働の内容、密度、方法、場所、安全衛生等)、災害補償関係、教育訓練、福利厚生等は、いずれも労働条件に関するものとして、義務的団交事項にあたる。
2、人事に関する事項
組合員に対する配転・出向等の異動や、懲戒、解雇等の人事に関する事項。
人事考課に関する事項も、「労働条件その他の待遇に関する事項」として、義務的団交事項になる。
また、非組合員であった労働者が解雇され、解雇後に労働組合に入った場合であっても、当該労働組合が申し入れた団体交渉を拒否することは許されない。
3、非組合員の労働条件や待遇
非組合員の労働条件が、実質的に組合員の労働条件や待遇に直接関係ないし影響することがある場合には、非組合員のことであっても団体交渉事項になりうる。(「根岸病院事件」東京高判平19.7.31)
なお、非組合員の労働条件等についても団体交渉事項とする旨の労働協約や、労使慣行がある場合は、義務的団交事項となる。
4、経営・生産、会社組織に関する事項
生産方法(新機械の導入や設備の更新)、工場・事務所の移転、役員・上級管理者の人事などについても、それが組合員の労働条件に関することであれば、義務的団交事項になる。
例えば、生産方法が変更されたり、新機械・設備が導入されることで、作業環境が悪化したり、労働強化につながる恐れがあれば、それは労働条件に関わるものといえる。
また、役員人事に関しても、当該役員が推進する施策によって労働条件が悪化しているような場合には、労働条件に関するものと捉えることが可能だ。
さらに、業務の下請化や派遣労働者の受け入れについても、それによって労働条件が引き下げられる可能性があるので、義務的団交事項になると考えられる。
「労働者派遣法40条の2第4項)」
臨時的・一時的派遣労働者導入における期間について、過半数組合もしくは過半数代表からの意見を聴くものとする。
5、団体的労使関係の運営に関する事項
団体的労使関係の運営に関する事項としての義務的団交事項は、労働組合と使用者との関係についてのあらゆることが該当する。
例えば、労働組合への組合事務所、掲示板などの便宜供与のほか、組合活動のルール、団交の手続やルール、争議行為に関する手続やルールなどである。

なお、使用者は、労働協約の有効期間中における、当該協約事項の改廃を交渉事項とする交渉申入れに対しては、重大な事情変更がない限り、交渉義務を負わない。
これは、労働協約の有効期間中、労使双方が労働協約で取り決めたことに拘束されるためである。
また、労働協約の有効期間中であっても、次期の協約の交渉期間に入れば、当然ながら使用者は交渉義務を負うことになる。
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