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労働協約(5)

2017-06-16 09:26:47 | Library
チェックオフ協定
使用者が組合員の組合費を給与から天引きし、これを一括して組合に交付することを「チェックオフ」という。
チェックオフにより、組合費が確実に徴収されるので、チェックオフ協定を結ぶことは、組合にとって大きなメリットだ。
従って、使用者がそれまで行っていたチェックオフを合理的な理由なく廃止することは、不当労働行為となる。
ただし、チェックオフ協定には以下のような問題もある。

1、賃金全額払い(労基法24条1項)との関係
チェックオフは、組合費を賃金の中から控除するものであるから、賃金の全額払いを定めた労基法24条1項との関係が問題となる。
この点は、労基法24条1項後段で、「労働者の過半数組合<(もしくは過半数代表)との書面による協定がある場合には、賃金の一部を控除して支払うことができる」としているので、過半数組合であれば違反とはならない。
問題なのは、過半数を組織していない労働組合の場合である。

2、個別組合員からの支払委任
最高裁判例では、チェックオフをなしうるためには、単に使用者と組合との協約があるだけでは足りず、チェックオフ相当額を直接組合に支払うことの委任を個別組合員から取り付ける必要があり、個々の組合員からチェックオフの中止を求められた場合、当該組合員のチェックオフを中止すべきとの判断をしている。(「エッソ事件」・最一小判平5.3.25)
実際には、組合費の支払は、組合員の最も基本的な義務のひとつだから、組合に加入しつつチェックオフの中止を求めたりすれば、統制処分の対象とされるであろうから、現実的には起こりにくいと考えられる。

便宜供与に関する協約
便宜供与とは、使用者が労働組合の活動のために一定の便宜を与えることをいう。
具体的には、組合事務所の貸与、在籍専従(従業員としての地位を保持したまま、従業員としての業務を行わず、組合活動に専念することを認める)の処遇、組合休暇(終業時間内に一定範囲の組合活動を認めること)などがある。
また、前述したチェックオフも便宜供与のひとつである。
使用者は、組合に対して便宜供与をする義務を負うわけではないから、便宜供与を得るためには、団体交渉で交渉し、その成果として労働協約にする。
労働協約に基づき、長年にわたり便宜供与がされてきた場合は、使用者が労働協約を破棄し、便宜供与を廃止することは不当労働行為になる可能性がある。

争議に関する協約(平和条項)
労働協約の有効期間中は、当該労働協約で定められた事項について、その改廃を求める争議行為を行わない義務が生ずる。(「相対的平和義務」と呼ばれる)
また、争議行為を行うに際しての手続を定める協約もある。
具体的には、争議の予告(日時、場所、人数、態様等)、保安要員の確保、調停・斡旋等の前置、などを定める。

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