忘備録の泉

思いついたら吉日。O/PすることでI/Pできる。

高野房太郎伝(4)

2016-11-08 09:35:20 | Library

さて房太郎がせっかく意気込んで始めた事業だったが、1年ともたずに閉店に追い込まれてしまう。
房太郎は逃げるようにサンフランシスコを離れた。
帰国することなど思いもおよばぬ話で、何よりあちこちに作ってしまった借金を返すには、この国で働くほか道はなかった。
そこで彼が向かったのは、太平洋岸沿いを200キロほど北に行った小さな町、ポイント・アリーナだった。
2年前アメリカに着いて間もなく、スクールボーイとして楽しい日々を過ごした懐かしい土地だ。

この時、この町で、房太郎は、彼のその後の運命を変えることになる一冊の本に出会った。
その時の体験を彼は後年、次のように述べている。 
「私が1889年にカリフォルニアの製材工場にいたときのことです。
幸運にも『労働運動─今日の問題』と題する一冊の本に出会いました。
その本を熟読したことで労働運動に対する私の関心はめざめ、また日本の労働者が耐え忍んできた不当な境遇について、私の認識は研ぎすまされたのです。」
1887年に刊行されたこの本は、まず最初にアメリカとヨーロッパの労働運動・労働法制の歴史と現状を説明し、ついで、印刷・靴製造・繊維・鉄・石炭・鉄道などの産業別の労働問題と労働運動を描き、さらに、労働時間・ストライキ調停・協同組合・農業問題・土地問題、中国人移民労働者など、当時のアメリカが直面するさまざまな労働・社会問題を論じていた。
まさにアメリカ労働運動に関する百科事典ともいうべき書物だった。

(つづく)

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