鹿児島明治維新150年特別不戦ドラマ「幽鬼兵・鹿児島45連隊」第3話

2017-03-20 | レーゼ小説

   鹿児島明治維新150年記念ドラマ

    幽鬼兵(鹿児島歩兵第45連隊)
       エスペランサの奇跡

        原作 土屋寛文

          第3話

○タイトル 「幽鬼兵(歩兵第45連隊)」

○腕の無い負傷兵(昼・片腕・胴体)
 石川(幽鬼兵)が隊を離れる。
 片腕を飛ばされて、もがいている日本兵いた。
 傍に立つ石川(幽鬼兵)。

兵隊「助けてくれ・・・。痛い、痛~い。母さ~ん。誰か助けてくれ・・・」

 石川(幽鬼兵)は、しゃがんで腕を飛ばされた負傷兵の「肩」に手を触れる。

西田(幽鬼兵)M「・・・?」

*「兵隊の腕はいつの間にか戻っている」(腕が付く)

突然、負傷兵は立ち上がり、何も無かったかの様に銃を構え走り去る。

西田(幽鬼兵)・太(幽鬼兵)「?・・・」(2人、顔を見合わせる)

 腕に触れた石川(幽鬼兵)は、負傷した兵隊の腕に「変化」したのか、既にそこには居ない。

西田(幽鬼兵)M「そうか・・・。俺達は自分には戻れない。しかし負傷兵には俺達の魂が入る事が出来るんだ・・・」

 太(幽鬼兵)は驚いて身振り手振りで、

太(幽鬼兵)M「西田さん、俺達はまだ戦えます。幽鬼に成れば良いんですよ」

 西田(幽鬼兵)は手で拳を作り、嬉しさを伝える。

西田(幽鬼兵)「・・・」(ガッツポーズ)

 笑う幽鬼兵達。

○集まる9つの幽鬼兵
 西田(幽鬼兵)達に気付き、ヤシの木陰からか9つの幽鬼兵達が集まって来る。
 西田(幽鬼兵)達が笑って出迎える。
 集まって来る幽鬼兵達も既に怒りは消えて、笑っている。
 西田(幽鬼兵)が、身振り手振りでこれからの戦法を伝える。
 9つの幽鬼兵達は、西田(幽鬼兵)の話を見て戸惑いを隠せない。

○再び砂浜へ引き返す(西田・太・15の幽鬼兵)
 西田(幽鬼兵)達、15の幽鬼兵のは負傷兵を求めて、上陸した砂浜を歩く。(散開する幽鬼兵達)
 上陸はすべて終わっている。(波の音・静かな浜)
 ブルトーザーのエンジン音が聞こえる。

音 「ブルルル~~」

○生き埋めの負傷兵(ブルトーザー2)
 米軍が日本兵の骸(ムクロ)を処理している。
 そこに、西田勇作の骸が有った。
 暫くすると、ブルトーザーが西田の骸をバケットに押し込んで穴の中に放り込む。

西田(幽鬼兵)M「・・・ゴミだ・・・。22年生きて輸送船で九死に一生を得、ようやく目的の島に辿りついてゴミになる。・・・何て事だ・・・」

 穴の中に、まだ息のある負傷兵が。(動めく息の有る日本兵)

西田(幽鬼兵)M「・・・生き埋めか。もう少し早くこの事に気付いていれば、俺の魂が命に変わってやれたのに・・・」

○地獄のジャングル(銃声と怒号・悲鳴・合言葉)
 西田(幽鬼兵)達は、ジャングルに入って行く。
 日本兵の合言葉が飛び交う。
 迫撃砲の砲弾が、異様な音を引いて数メートル範囲に着弾する。
 折れる樹木。飛び散る肉片。

声 「ヤマッ ・・・ カワッ! オイ 左の樹ッ! 敵 3 右 2人 援護~ッ 行けッ! 撃て、 援護ッ 援護ッ 1人ヤラレタ 行けッ、行け~ッ!」

 数100メートル内の攻防。
 魂と変わった故日本兵達が西田(幽鬼兵)達の周りに、磁石の様に集まって来る。

声 「ヤラレタ~ッ! ヤマーッ! 山田上等兵負傷~ッ! 衛生兵~ッ!」(断末魔の声)

 1人の幽鬼兵が、その負傷兵の前に立って居る。
 幽鬼兵は負傷兵の血だらけの胸の傷に手を当てる。
 その負傷兵は急に立ち上がり、鬼のような形相で突進して行く。
 いたるところに日本兵が、コト切れている。
 幽鬼兵達は、負傷兵が居ないかと周囲を見回わす。
 1つの幽鬼兵の近くに、日本兵の「頭部」が飛んで来る。

○頭部だけの兵隊(切れた首・瞬(マバタ)きをしてい顔)
 幽鬼兵が胴体を捜す。

幽鬼兵M「・・・ 無い」

 ふと上を見あげる幽鬼兵。
 胴体が内臓を出して、樹に引っ掛かっている。
 いつの間にか、頭部は眼を見開いて、骸(ムクロ)に変っている。

○ジャングルのスコール(午後・突然の豪雨・死んでも戦う兵隊)
 雨は直ぐに滝に変り、道は川に変わる。
 米兵の骸がうつ伏せに成り、川の流れに乗って来る。
 その骸が日本兵の骸にぶつかる。
 死んでも、戦っている骸兵。

○川を下る米兵達(6・負傷者1・担架1)

○米軍戦闘機F4Uコルセア
 迫撃砲の砲弾が不気味な音を引いて飛んで来る。

音 「ヒユ~~~~・・・ド~ン・・・」
西田(幽鬼兵)M「1キロ先に飛行場が在るはずだ。飛行場に着くまでに、何人の兵隊が骸と成るのか・・・」

 米軍の戦闘機(F4Uコルセア)が空中を一周して、爆弾を落として行く。

音 「ドドドド~~~~ン」(地響き)

○スコールの後(鳥の声・数発の銃声)
 静まり返ったジャングル。

鳥の声「ギャーギャーギャー・・・」

 西田(幽鬼兵)達が周囲を見る。
 負傷兵達は、すべて死んでいる。
 強烈な日差しがジャングルを包む。
 38銃の銃声音が聞こえる。
 
銃声「ターン・・・、タン、ターン・・・」(数発の不連続な発砲音)

 一斉に戦闘が再開される。

声 「突撃ーッ!」(将校の悲鳴の様な号令)

 木陰に隠れていた6人の日本兵達が鬼の様な形相で走る。
 暫く走ると、葡匐前進で敵に近付いて行く。
 米軍の機銃が唸る。(連続する機銃音)

音 「ドドドドドド」

○倒れる日本兵(散開する幽鬼兵達)

声 「ヤラレターッ! 肩 カターッ」

 1人の兵隊が転がりながら負傷兵の傍に寄る。

兵隊「大丈夫か・・・」 

 いつの間にか幽鬼兵が負傷兵の肩元にしゃがみ、傷に触れる。
 負傷兵は何も無かったかのように、銃を取り一目散に木陰に隠れる。
 傍に居た兵隊は不思議そうに、その負傷兵を眺めている。
 西田(幽鬼兵)が、後ろを見る。
 幽鬼兵が無数に散開している。

○9名の徳重中隊(徳重崇雄中尉)
 徳重中隊の集団が先鋒隊で進んでいる。
 徳重中尉の周囲に、9名の兵隊がヤシの木陰に隠れて居る。
 徳重中尉は無傷である。

徳重「おい、無駄撃ちするな。敵に位置を知らせるぞ!」(小声で)
高橋(高橋竜吉軍曹)「ヤマッ! 」
森 (森 秀雄二等兵)「ヤマッ!」

 木陰から高橋が徳重の傍に転がって来る。

高橋「中隊長、この方向を進んで良いのでしょうか・・・」
徳重「この方向? ・・・。野村ッ! 来い」
野村(野村伸二伍長)「はッ!」

 野村が木陰から葡匐で出て来る。

徳重「位置は?」
野村「はいッ!」

 図嚢カバンを開け地図を取り出し、徳重に見せる。

野村「今、・・・多分・・・この辺に居るはずです」
徳重「・・・飛行場までもう直ぐだな。おい、斥候を2人出せッ!」
野村「はいッ!」

 野村は急いで葡匐で木陰に戻る。
 木陰に迫田(迫田 勇上等兵)と宮園(宮園信次郎上等兵)が伏せている。

野村「迫田、宮園、斥候ッ! 先に行って見て来い!」(小声で)
迫田「ハイ!」
園田「ハッ!」

 2人がジャングルの奥へ、葡匐で前進して行く。

○岩 陰(夕方・徳重・日高)
 徳重の前に隠れている日高(日高 悟二等兵)。

徳重(声)「おい。あれから2日目だな」(小声で)
日高「いえ、3日目です」(銃を構えながら小声で)
徳重(声)「3日?」 
 徳重は日高をチラッと見て、

徳重「・・・腹が減ったのう」
日高「・・・いえ」(銃を構えて)

 徳重が前に伏せる日高を蹴る。

日高「(驚いて)あッ、はいッ! 減りました」
徳重(声)「キサマ、糧秣は有るのか」
日高「いえッ、失くしましたッ!」(銃を構えて)
徳重(声)「バカ者ッ!」(小声で厳しく)
日高「はいッ!」(銃を構えて)
徳重(声)「弾とメシとどちらがダイジかッ!」(小声で)
日高「はいッ、メシでありますッ!」(銃を構えて)

 徳重がヤシの樹の陰から顔をだし、きつい目で日高を睨む。

○斥候兵(2人)
 暫くして、斥候兵の迫田上等兵と宮園上等兵が戻って来る。
 迫田と宮園が徳重の傍に葡匐で近寄る。
迫田「報告します!」
徳重「うん」 
迫田「此処から1キロ先に飛行場は見えません」
徳重「何ッ!? ・・・」(宙のを睨んで)
徳重「野村、来い」

 野村伍長が徳重の傍に来る。

徳重「もう一度、地図を見せろ」
野村「はッ」

 徳重は方位計を胸ポケットから取り出し、地図の上にあてる。

徳重「・・・おい」
野村「はッ!」

 徳重は地図を見ながら、

徳重「俺の方位計は合ってるのか?・・・」

 野村伍長は自分の方位計を取り出し地図の上に載せる。

野村「・・・間違いないと思います」
徳重「? ・・・地図が間違っているのか・・・」
野村「・・・」
徳重「いったい俺達は何処に居るんだ」
 ジャングルに鳥の声が木霊する。

鳥の声「ギャー・・・ギャー・・・」

徳重「おい、キサマ等」
迫田・宮園「はいッ!」
徳重「敵と会わなかったか」
宮園「会いませんッ!」
徳重「・・・孤立したか・・・」(ボソッと)
野村「戻りましょうか」
徳重「戻る? 何処へ」
野村「もと来た場所へ」

 徳重は少し考えて、

徳重「・・・斥候ッ! オマエ等もう一度戻って友軍を捜して来い」
迫田・宮園「はいッ!」

 2人が散開して行く。

                 
 つづく

この作品は、著作権を放棄したものではありません。

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