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運動の効能

2016-09-18 11:30:41 | ブログ
 健康な生活を送るために、日常的に身体運動を行う必要があるとは、再三耳にする忠告である。しかし、現実には半数以上の人々は必要とされるだけの運動をしていないのではなかろうか。科学技術が進歩して、生活が便利になった結果、多くの現代人は、身体機能も頭脳も使わなくなって、ヒトとしてばかりではなく人間としても劣化していく一方である、という見方もある。

 そこで、この際、今まで言われてきた運動の効能についてまとめてみることにした。また、そこから見えてくる今後の課題についても言及したい。

 まず、運動不足の結果として、がん、心臓病、糖尿病、関節炎、腰痛、転倒による骨折と寝たきり、認知症になるリスクが高くなることが言われている。これは、多数の人々の追跡調査の結果であり、その通り信じる他ない。

 さらに、運動は、人の寿命を5年ほど延ばすと言われている。身体運動は、人の細胞の老化を遅らせるのである。人の細胞が分裂するたびに染色体上のテロミアが短くなる。運動によってテロミアを保護する分子のレベルが増大し、結果としてテロミアの縮小を遅らせることができる。

 最近言われている運動の効能の中でも、特に注目したいことは、運動は、うつ病を予防することに加えて、記憶力を高めるということである。

 身体運動が脳の血流を増やし、新しい血管の生成に寄与することは、何とか分かる。しかし、運動は、新しい神経細胞を生成し、神経細胞を修理し、その機能劣化を防ぐと言われても、どうも分かったような気がしない。

 運動によって脳内の神経伝達物質の放出が活発化され、その結果、ある種のタンパク質が生成されて、新しい神経細胞(ニューロン)が生成され、神経細胞の保守が行われる、と推測されている。そのようなタンパク質の一つと思われるが、BDNF(brain drived neurotrophic factor)と呼ばれるタンパク質が知られている。

 新しい神経細胞が生成され、神経細胞が活性化されれば、それは記憶力の保持や向上に寄与することに異論はないであろう。しかし、記憶力は俗語であり、そもそも人の脳における記憶とはどういうメカニズムで行われ、記憶を保持するとはどういうことか、について明解な説明をすることは難しい。

 参考文献のような脳科学に関する本を読んでみると、記憶や学習のメカニズムが何となく分かったような気がしてくる。

 身体運動は、筋肉ばかりでなく頭脳も使うから、脳の神経ネットワークでは電気信号の往来が激しくなり、ニューロンのつなぎ目部分であるシナプスでは神経伝達物質の放出が活発となる。その結果、神経細胞の受容体は、この化学物質を受け取り、分子コミュニケーションを介して細胞内の核にあるDNAから遺伝情報を読み、神経細胞の活性化や修理に必要なタンパク質を生成する。

 この過程を通じて、シナプス結合の強度が必要に応じて自動的に変更され、脳が状況に合わせて柔軟に働くように記憶や学習が進められていく。

 言うまでもなく、運動によって増大した脳の血流は、このようなプロセスを行う脳の神経細胞に充分な酸素と栄養分を供給する。

 こうしてみると、よく言われる「勉強すればするほど頭がよくなる」という経験則は、身体運動にもよく当てはまることがわかる。「運動とは、筋肉の強化ばかりでなく頭脳の強化でもある」と言っても過言ではない。

 また、認知症は、記憶力を含めた脳の認知機能低下であるから、運動が認知症を予防するかその発症を遅らせることは、疑いのないところである。

 今後の課題としては、情報処理をする脳の数理モデルと脳の分子生物学とを関連づけることである。これによって、認知症の脳科学的な基礎づけも期待できるだろう。

 参考文献
 甘利俊一著「脳・心・人工知能」(ブルーバックス)
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