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「静寂よ、叫べ」 フレドリック・ブラウン

アメリカのショート・ミステリをひとつ翻訳します。中学生の頃、すっごく好きな話で、どこかで原文が見つかればいいなあ、と思っていたら、見つかったので。 ごくごく短いものなので、二日で訳せたらいいなあ、なんて思ってます。 Cry Silence(「静寂よ 叫べ」) by Fredric Brown  例の音にまつわる昔ながらのくだらない議論だった。聞く人もない森の中で木が倒れるときは . . . 本文を読む
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履歴から何がわかる?

以前、図書館で借りた本がもう一度読み直したくなったのだが、タイトルがわからない。書庫からわざわざ出してもらったことだけは覚えていたので、書架で探しようがないことはわかっていたから、所蔵図書検索に思いつく限りのタイトルを入力してみたり、それとおぼしい出版社と分類番号で検索してみたり、と手を尽くしてはみたのだが、どうやってもわからない。 仕方がないので司書さんに貸し出し履歴を調べてもらおうと頼んでみ . . . 本文を読む
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ひっそりと再開

図書館で『教科書に載った小説』という本を見た。 菊池寛の「形」や芥川龍之介の「雛」など、わたし自身、国語の授業で教わった短篇もあったし、永井龍男や広津和郎など、遠い昔に読んだ話もあった。中学を卒業してお寺に修行に行く男の子とお母さんが旅館に泊まって、最後の晩餐に「とんかつ」を食べる、という話が三浦哲朗の「とんかつ」だったというのは、この本で初めて知った。おそらく国語の問題文で一部を読んだのが印象 . . . 本文を読む
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年末のごあいさつ

ブログ「陰陽師的日常」をのぞきに来てくださるみなさま、なかなか更新できなかったにもかかわらず、ご来訪くださってどうもありがとうございました。 今月22日、父が永眠いたしました。 目の回るような一週間を過ごしたのち、こちらに戻ってきましたが、何もかもが妙に実感を欠いていて、夢の中にいるような、おぼつかない気持ちでいます。 亡くなった父の枕元に、図書館から借りていた本がありました。通っていた病院の . . . 本文を読む
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文化住宅の話

大阪には「文化住宅」というものがある。建物の横手に鉄筋の階段がついている木造二階建てのアパートのことで、たいてい「○○文化」という看板が階段を上がりきったところの手すりにかかっている。 たいていモルタルの壁も変色してなんだかどす黒くなっていて、ひびが入っていたり、中にはその一部がはがれ落ちていたり。鉄筋の階段もすっかり錆びてしまって、十年や二十年の古びようではない。昭和のにおいの濃い、といっても . . . 本文を読む
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ロアルド・ダール「ウィリアムとメアリー」最終回

(※遅くなってすいません。でもがんばって最後まで訳しました) 最終回  ランディが夫人をテーブルからほんの数メートルのところまで連れて行ったので、ちょうど夫人のところから容器を見下ろす恰好になった。 「ご対面ですな」とランディは言った。「あれがウィリアムです」  彼はミセス・パールが思い描いていたよりはるかに大きく、色も濃かった。表面全体に隆起している箇所と割れ目とが走っていて、どう . . . 本文を読む
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ロアルド・ダール「ウィリアムとメアリー」その13.

その13.  ミセス・パールはしばらく黙り込んでいた。 「ええ、そうね」やっと口を開いたが、先ほどまでとは打って変わって、ひどく弱々しい、疲れた響きだった。「そちらへうかがって、あの人がどんなだか見た方がいいんでしょうね」 「それはよかった。そうなさるだろうと思っていました。ここでお待ちしています。三階の私のオフィスにじかにいらしてください。では、失礼します」  半時間後、ミセス・パール . . . 本文を読む
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ロアルド・ダール「ウィリアムとメアリー」その12.

その12. 追伸 私が逝っても身を慎むよう。妻であることより未亡人の方が厳しいということをどんなときでも忘れることがないように。カクテルは飲まないこと。無駄遣いはしないこと。タバコも駄目だ。ペストリーも食べないように。口紅で粧うことなど不要だ。テレビを購入してはならない。私のバラ園と石庭は夏の間もきちんと雑草を引いておくように。ついでながら、電話は解約してかまわない。もはや私には電話は必要ない . . . 本文を読む
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ロアルド・ダール「ウィリアムとメアリー」その11.

その11.  奇妙な考えというのはこうだ。脚を切断された男が、自分の脚がまだそこにあるという幻肢を持つという話がないだろうか。もはやそこにはない足の指がかゆくて、気も狂わんばかりだと看護婦に訴えるようなことはおこらないだろうか。つい先日も、そのたぐいの話を聞いたような気がする。  やれやれ。その前提に立つのなら、くだんの容器の中でたったひとつ浮かんでいるわたしの脳が、自分の体について同様の幻 . . . 本文を読む
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ロアルド・ダール「ウィリアムとメアリー」その10.

その10. 「欲求不満になりそうだな」と私は言った。 「くだらない。欲求不満なんかになるわけがなかろう。欲求もないのに欲求不満になりようがないんだ。なにしろ君は欲求が起こらないのだから。とにかく肉体的な欲求はありえない」 「この世での生活を思い出すことはあるだろうし、そうなるとそこに戻りたくなるかもしれない」 「なんだって? この混乱しきったところにか! 心地よい容器の外に出て、こんな精 . . . 本文を読む
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