メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

クロフツ「樽」

2017-01-03 14:49:08 | 本と雑誌
樽:クロフツ 霜島義明 訳 創元推理文庫
 
このところ題名だけは知っている推理小説をときどき読んでいる。観念的なことが書かれている本を読むのにそろそろ疲れてきたこともあって、読書の習慣にはこういうものが入ってきている、とも言える。
 
フリーマン・ウィルス・クロフツ(1879-1957)が1920年に発表した作品。死体が詰め込まれた謎の樽がドーヴァー海峡を行ったり来たりというのは、きいていたとおりで、その事件に対する警察と、容疑者とされた側の弁護人・探偵たちの捜査、その進行が描かれている。
 
本当の最後は別として、あまり怖い人、話はなくて、捜査の関係者は常識を持って丁寧に仕事をしていく。かなり込み入ったアリバイ、それのくずしであり、私のように特に推理小説が好きとわけではないものには、最初めんどうな感じはあっても、出てくる人たちの行動、会話が前記のようだから、なんとか読み進めていけた。章・節割りが、適度に短いのもいい。
 
この時代の交通、電話など、案外進んでいたのかなとも思うから、推理小説の発展がはじまり、その古典の黄金時代になったというのもなるほどである。
後半登場する探偵が最初はあまりシンパシーを感じない人と見せて、だんだん読者を引き込んでいくのは、著者の意図と仕掛けだろうか。
 
原題はThe Caskで、同じ樽でも大きなものはbarrel、小さな方がcaskであるようだ。前者はビール、後者はウィスキーだろうか。原油の単位もこの大きい樽からだろう。最近よく聞くカスクは自転車なんかの軽いヘルメットだが、これも形状からか。
 
クロフツには、有名なフレンチ警部シリーズがあるから、いずれ読んでみよう。
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