メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

さらば愛しき女よ

2009-02-19 12:07:30 | 映画
「さらば愛しき女よ」 (Farewell, My Lovely 、1975米、95分)
監督:ディック・リチャーズ、脚本:デヴィッド・Z・グッドマン、原作:レイモンド・チャンドラー
ロバート・ミッチャム、シャーロット・ランブリング、ジャック・オハローラン、ハリー・ディーン・スタントン、シルヴィア・マイルズ
 
チャンドラーのハード・ボイルドに持っているイメージにぴったりという感じはある。もっともチャンドラーについては、あまりよく読んだ記憶はなく、この作品についても昔読んだとは思うけれど(確かハヤカワ文庫で持ってはいた)、最後まで読み通したかどうかはわからない。
 
この映画は、主人公フィリップ・マーロウの独白など、うまく雰囲気を出している。いくつかのせりふからは、第2次世界大戦が始まるころのロサンゼルスのダウンタウンが舞台らしい。最近いくつかの映画で見たこの地の腐敗状況から、簡単に人が殺され、主人公の探偵の振る舞いも手荒なことが、話としては理解できる。
 
マーロウのプリンシプルは、今となってはそうこだわることかなとも思えるけれど、映画としてはよくわかるようになっている。
ただ筋としては、省略もあるのか、うっかり見逃したか、わかりにくところもある。
 
ロバート・ミッチャムは名前は別として「眼下の敵」(1957)のイメージが強く、この役にはどうなのかと思っていたが、なかなかはまっている。もう少し細めで敏捷なほうがいいのだが、アクション全体がシンプルなためかなんとかなっている。
 
大男のジャック・オハローランは、最初は何この人と思い、すぐいなくなるのかとおもいきや、出番は続いたが、そのうち納得してきて、不思議な配役。
 
そしてシャーロット・ランブリングが愛しき女として出ていることは知らなかった。美しさ、強さ、冷たさ、すべて兼ね備えぴったりといえばそうなのだが、この話の中でもう少し贅肉がついた感がほしかった。すでに「地獄に堕ちた勇者ども」(1969)、そして何より「愛の嵐」(1973)には出た後なのだが、この映画はこの映画で意識的にもっと大人っぽくしたのか、それが行き過ぎて役にマッチしていない。
 
ジョー・ディマジオの連続試合ヒット記録を中心にした、キオスクの売り子とのやりとりがいい。
 
シルヴェスター・スタローンがちょっとした役で出ていて、すぐにわかる。
 
このころのアメリカ映画、最近のものよりは倫理規定がゆるいようだ。

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