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マニュアルとともに20年

2007-08-31 | わかりやすい表現
●マニュアルとともに、
20余年  さてでは、「研究だより」それも「回顧(自慢話?)編」です。  次の2冊の本の出版が、それまでのほぼ20年にわたる基礎的・実験室的研究から応用研究のほうに軸足を移すきっかけになりました。これは、自分の研究生活の上で、劇的な変化でした。  
・1987年「ユーザ読み手の心をつか  むマニュアルの書き方」(共立出版)
・1988年「こうすればわかりやすい表現になる---認知表現学への招待」  (福村出版;絶版)  
いずれも、ユーザ、読み手、聞き手の頭の働きのくせにあった表現とはどのようなものであるべきかを考えてみたものでした。  この本の出る5年前頃から、ワープロが急速に普及してきました。それに比例するかのように、そのマニュアル(取扱説明書)がわかりにくくて困るという苦情がメーカーに殺到してしまい、弱り抜いていたようでした。  
そんな時でした。日本IBM(株)の大和研究所の人間工学のセクションでマニュアル評価の仕事をしていた加藤隆氏(現在、関西大学教授)から、認知心理学の立場から、これを解決する方策がないかと相談されたのがきっかけで、マニュアルの世界に足を踏み入れることになりました。  
どんなことをしたかというと、認知心理学をベースにして、「ユーザはマニュアルをこんな風に読んでいる」「マニュアルを読んでいるときにこんなことを頭の中でしている」だから「こんなふうにマニュアルを書いてくれるとわかりやすくなるはず」という提言をしてみたのです。  
上記の2冊の本は、それをまとめてみたものです。  これが大受けでした。打ち出の小槌か魔法のようにでもみえたのでしょうか、あるいは、わらにもすがる気持ちもあったのでしょうか、あちこちのメーカーなどから、共同研究やセミナー・講演の申し出が舞い込みました。  
年齢も40代中頃、研究者として最も油の乗り切っていた時期でしたから、どんな依頼仕事も楽しく、しかも楽々とこなすことができました。人生で一番有能感を持てた時期でした。

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