人材開発・組織開発コンサルタントZOFFY雑感

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メタファーとアナロジー

2006-01-05 10:42:01 | ビジネス・コラム
メタファーとは「隠喩」「見立て」のことである。AをBに見立てること。例えば、「目玉焼き」はメタファーである。「目玉焼き」を『広辞苑』で引いてみると「卵をかきまぜずにフライパンで焼いたもの。黄身を“目玉に見立てて言う”」と説明されている。このほかにも「たいやき」「メロンパン」もメタファーである。A(たいやき、メロンパン)をB(魚の鯛、果物のメロン)に見立てている。
メタファーと共に用いられるものにアナロジーというものがある。簡単に言いうと、メタファーが点対応であるのに対し、アナロジーは面対応である。例えられるものA(未知のもの)が、例えるものB(既知のもの)との点対応によって理解される。これがメタファー。例えられるものA(未知のもの)の諸特質(a1、a2、a3)が例えられるものB(既知のもの)の諸特質(b1、b 2、b 3)との面対応によって理解される。これがアナロジー。少し解かりにくいか!?それではアナロジーをもう一つ解かりやすく例えると、A:B=C:Dの比例式で説明できる。例えば、Aを「人生」、Bを「晩年」、Cを「一日」、Dを「黄昏」とする。すると「人生」対「晩年」=「一日」対「黄昏」の比例式が成り立つ。このような「類比」をアナロジーと呼ぶ。

人材開発の分野では、ある分野の専門家である講師やインストラクターがその分野に不案内の人たち(受講生)に対し限られた時間内である程度のことを理解させなければならないことがある。私は、仕事柄こうした場面をよく観察する。私は、講師やインストラクターの力量を観察する場合、知識(コンテンツ)の豊富さもさることながらその人の“伝え方”に注目する。“伝え方”とは話し方のことではない。私が注目するのは、「受講者のレベルに合わせた例え方」のことである。
専門外のことを学ぼうとする人は、自分の解かる世界の言葉に例えて説明してもらうと理解しやすい。私も社労士の勉強をしているときや苦手なIT技術の講習を受けているとき「なるほど」と言わせるメタファー、アナロジーによって理解が深まった経験が何度もある。私は、受講生のレベルに合わせたセンスあるメタファー、アナロジーを駆使できるか否かが、講師、インストラクターの力量を見る上で重要な要素であると考える。

野中郁次郎氏は知識創造のプロセスをSECI(セキと発音する)モデルで説明しているが、氏はSECIモデルの第二ステップ「Externalization(表出化)」で暗黙知を形式知へと変換していくプロセスに、このメタファー、アナロジーを使うことが効果的だと述べている。
ある分野に精通している人も、その専門的知識を他者へ移管しようとするときは、メタファー、アナロジーを駆使して相手がイメージしやすいような“伝え方”の技術を身につけなければ真のプロとは言えないだろう。これらは、プロの研修講師・インストラクターには必須の技術である。

(参考)
メタファー思考―意味と認識のしくみ

講談社

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知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代

筑摩書房

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