人材開発・組織開発コンサルタントZOFFY雑感

個人的関心ごとについてコメントしています。

AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)の体験から

2008-03-13 23:41:11 | 人材開発の仕事
昨日、一昨日と、最近注目されているAI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)というプログラムを我々自らが体験するという趣旨で、職場のメンバー全員で研修会に参加した。

AIとは、問いや探求(インクワイアリー)により、個人の価値や強み、組織全体の真価を発見し認め(アプリシエイティブ)、それらの価値の可能性を最大限に活かした、最も効果的で能力を高く発揮する仕組みを生み出すプロセスのことをいう。ポイントは、すべてにおいて肯定的に考えること。否定的なこと、危機意識などは持ち込まないこと。

具体的な進め方は、参加者同士のインタビュー、グループワーク、寸劇、話し合い(ダイアログ)が中心で、「最高の体験」「在りたい未来像」「プラウド&ソーリー(誇りに思うことと残念に思うこと)」という、話し合っていてワクワクするような内容をメンバー同士が共有していく。そんな話をメンバー同士が共有し、様々な発見ができたところで、最後、自分たちが実現したい未来像をつくるための約束事「スタンダード3」を決定していくというものである。

2日間のAIセッションを体験した結果、個人的には、

確かにポジティブ・アプローチという視点の大切さは理解ができた。しかし、このプログラムを導入する組織自体にポジティブ・アプローチを大切にしようという風土がないと、ただの余興になってしまいかねない

という感想を抱いた。

実を言うと、私たちのグループでこのAIプログラムを導入し、組織の活性化、そして業績の向上が実現できた組織がある。
その理由を紐解くと、その組織では、事業部のトップがポジティブ・アプローチの大切さを理解しており、まずはトップと管理者全員がこのプログラムを受講し、その後、管理者自身がAIファシリテーターとして、自分たちの部下と2日間のセッションを共にしたというのである。日頃はどちらかというと「目標と現状とのギャップをどうするか」という問題解決型アプローチで部下と接しているトップや管理者が、この2日間だけは、社員の成功体験や内側から湧き出てくる理想について耳を傾け続けていたのである。
これまでは会社からの目標を押し付けているだけだった管理者たち。それが、このセッションでは、自分たちの思いを肯定的に受け止めてくれている。そんな管理者の接しように、社員たちも本気になり、実際の業績に結びついたに違いない。

よって、このAIプログラム。「今流行だから」と安直に導入しても、トップや職場の管理者にポジティブ・アプローチの効用に理解がないと、単なる戯言、余興に終わってしまう。もしかして「研修で言ってたことと、日頃の言動が違うじゃないか」と社員に不信感を与えることにもなりかねない。

本気でAIプログラムを導入し、組織を良い方向に導きたいと思うなら、私たちのグループが実際に行ったように、トップや管理者が自らファシリテーターとなって、社員にポジティブ・アプローチで接するぐらいの腹決めが必要ではないかと私は思う。

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5 コメント

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Unknown (minia327)
2008-03-21 21:58:08
明日、AI関係の書籍を紹介するため、WEB上をウロウロしていたところ、たまたま、通りすがりで寄らせてもらいました。

とても参考になるブログに出会えてよかったです!
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minia327さんへ (ZOFFY)
2008-03-21 23:18:22
minia327さん、こんばんは。はじめまして。
コメントありがとうございます。

そちらのブログも拝見しましたが、非常にためになる書評ですね。また、ちょくちょく寄らせていただきます。
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ZOFFYさんへ (富田錬太郎)
2008-03-29 05:40:15
ZOFFYさんはじめまして。富田と申します。
いつも楽しくブログ拝見しております。
最近AI関係の書籍で「私が会社を変えるんですか」を
読んでAIに非常に興味をもちましたが、ZOFFYさんのご心配される内容とまったく同じ内容を私も危惧しております。
すなわち、トップや中間管理職にその気がなければ進展しないという点です。
貴社の一部で成功事例があるというのはすばらしいですね。
トップや中間管理職、社員自体に「どうせ何言ったってうちの会社変わりっこないんだから・・・」というような風土の会社(こういう会社は少なくないと思いますが)が、いかにAIを活用できるのか、あるいはAI以外に活用できる手法はあるのか、私も企業に身を置く一員ですので日々悩んでいます。
興味深い事例等ありましたら、またブログ等でご教授ください。
よろしくお願いします。

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富田さんへ (ZOFFY)
2008-03-30 00:16:50
今晩は。コメントありがとうございます。人材開発のトレンドとして注目されているAIですが、体験してみて判ったのは、やはり、特効薬というものは存在しないのだなということですね。 よかったら、またお越し下さい。
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返信お礼 (富田錬太郎)
2008-03-30 05:27:47
ZOFFYさん、返信ありがとうございました。
特効薬をついつい求めがちになってしまいますが、やはり、しっかり、着実に、あきらめずにというスタンスが必要のようですね。
また、寄らせていただきます。
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