かわたれどきの頁繰り (小野寺秀也)

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(46)――朝日歌壇・俳壇から(2017年9月10日~10月16日)

2017年10月16日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

八月の死者の魂語らねど沼一面に咲く蓮の花
             (仙台市)矢口つとむ  (9/10 高野公彦選)

三年ぶりの一時帰宅のわが家は緑のなかに埋もれ朽ちゆく
             (国立市)半杭螢子  (9/10 永田和宏選)

わが里への一時帰宅はイノシシの出没恐れつつ敷地に入る
             (国立市)半杭螢子  (9/10 佐佐木幸綱選)

高線量建屋の上に鳶氏立ちクレーン指示して大屋根を載す
             (福島市)青木崇郎  (9/10 佐佐木幸綱選)

果物を水菓子と言いし母なりき手向けて悲し福島の桃
             (下野市)若島安子  (9/10 佐佐木幸綱選)

子を宿すと孫よりの知らせなほさらに脱原発のデモへ出でゆく
             (八王子市)原田なつ子  (9/10 佐佐木幸綱選)

森育ち食は自足の生活が仮設に移れば買うだけの日々
             (福島市)澤正弘  (9/18 永田和宏選)

知らぬふりしようが先に延ばそうが不都合な過去を終わりにはできぬ
             (橿原市)福田示知恵  (10/2 永田和宏選)

(そら)をゆくICBM地下ゆする核爆発よ秋の種子蒔く
             (蓮田市)斎藤哲哉  (10/2 馬場あき子選)

ふくしまの妹つくりし梨を食む「もうやめようか」といふ梨をはむ
             (三鷹市)増田テルヨ  (10/16 永田和宏、高野公彦選)

立川市のスーパー訪えば福島の紫紺の茄子は客を恋う顔
             (福島県)余所野晶子  (10/16 高野公彦選)

 

語り部の遺影となりて八月尽
             (太田市)吉部修一  (9/10 金子兜太選)

原爆忌嫁がず逝きし友思ふ
             (横浜市)本多豊明  (9/18 大串章選)

無人なる被曝の町の天高し
             (いわき市)馬目空  (9/25 金子兜太選)

かぎりなき廃炉の空を鳥渡る
             (敦賀市)村中聖火  (10/16 金子兜太選)



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