ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

養子

2011-02-13 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
瑠璃姫「父が、従兄弟と結婚させたがってたわ」と白湯を手の内で転がした。コロンと。
義経「初耳だぞ…それ」
瑠璃姫「でも、あなたが引き起こした壇ノ浦のドサクサに紛れて、トンずらしちゃった。お金持ちで一生安泰、崖っぷちの平家にはちょうど良いと思ったんだけど」
義経「ありがた大迷惑で、いけすかねぇ男だったんじゃね?その男」
瑠璃姫「そうね、否定はしないわ。赤い源氏車を乗り回すお坊ちゃま」と白湯を一口飲んだ。
義経「そんな奴、弟にしたくねぇ」
池田くん「あ!弟って言えば、匠がお世話になっていると聞きましたけど」
瑠璃姫「さっきね、匠くんの話をしたの。笑い方がそっくりで…」
義経「きもい、ってか?あいつ、お前の事、探し回ってるぞ」
池田くん「養子に出したのに、いつまでも俺に付いて来る…」
義経「10年前だっけ?志鷹家の養子に出したの。聞いたぞ、あいつから」
池田くん「池田の家には、俺一人が居れば…十分だ」
瑠璃姫「池田くんって、呉 服部…でも、京の呉じゃないわね。備中の呉(岡山)の出身?」
池田くん「ふぅ。…これだ」と瑠璃姫を見つめて「勘が鋭い…洞察力と観察眼を兼ね備え、おちおち世間話も出来やしない…」グイッと大きくコップ酒を飲んだ。
瑠璃姫「あら、ありがと」
義経「瑠璃。それ…褒め言葉じゃねぇぞ。おいそれと浮気出来ねぇ恐妻家タイプの女だって、暗に言われてんのが分からねぇのか?」
瑠璃姫「え…(じ…っ)」と池田くんを見て、
池田くん「そういう目で見ないで下さい。男心です」と義経に酒を「はい」と差し出した。
義経「おぅ」と酒を注いでもらって「鳥かごの中のお嬢様には分からねぇ世界の話だ」と軽く一口飲んで「…匠の奴、どうすんだ?志鷹家じゃ、心配してんだろ?」
池田くん「そりゃ…心配もするでしょう、困った奴だ。志鷹さんは、父が富山に行くと必ず立ち寄る売薬の顧客で…ずっと、子供が出来ないと嘆いておられた。俺もそろそろ危険な役に付くようになったし。匠は…まだ小さいから、今のうちに養子に出そうって事になって…」
義経「でも、兄貴ぃ兄貴ぃとあの甘ちゃんが泣きついてくるってか」
池田くん「フッ」と苦笑して「あいつ…養子の意味を分かってない」
義経「しっかり説明してやれよ。養子に出すって、それ相当の覚悟がいったんだって」
池田くん「あぁ」と酒を一口飲んで「いずれは…」と曖昧に答えた。


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