ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

入れ代わりの術

2011-05-19 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「昔から、男には好かれるんだよッ」と繭子から引っ手繰った。
繭子「明日、早いんでしょ、寝たら?」
義経「お前こそ、こんな遅くまで…何やってんだ?」
繭子「ほんと、のん気な人ね。ふぅ」と親指を向こうにやり、明かりの灯る部屋を指した。
義経「あん?」
繭子「賀茂女ちゃん、よ」
義経「あ、賀茂女ッ」の部屋に行こうとしたら、よろっと来て、ガシッと腕を受け止め、
繭子「この、酔っ払いッ」と部屋まで連れて行ってくれた。
賀茂女「…よっし…」と呟くその声に、
義経「え…!?」耳を疑ったが、これ…!?
繭子「ずっと、こんな感じよ…」と義経を見たら、驚いた顔して、
義経「…。あのさ、預けてた荷物…玄関に置いといてくれ」
繭子「え?」
義経「頼む…」
繭子「…分かったわ」と森乃・熊世引き連れて、部屋を出ていった。
それと入れ違いに♪賀ぁ茂女、賀茂女…♪と、部屋の場所…聞いとくべきだったな、と忘れモンを思い出し、引き返していた斯波は、再び料亭の裏からこっそり忍び込んでいた。
斯波「おろ?あそこに灯りが…あそこか?」と、こっそり覗いて見たら、
義経「葵…か…?」と賀茂女に訊ねる義経がいて、
斯波「え!?」と耳を疑い、真相確認のため、こっそり聞き耳を立てた。
賀茂女「いつ…気付いたの…?」と布団から「よっ」と上半身起こし、
義経「黒脛巾…佐藤たちから、聞いた…」と体を支えてやった。
山吹「相変わらず…鈍(にぶ)ッ」
義経「それより、これ、いったい?」
山吹「六条…御息所の…術…」
義経「へ?それって、ただの生霊の術じゃねぇかッ!」しかも葵の上を呪い殺した…って。
山吹「へへっ」と笑って「賀茂女ちゃんに…“拒絶反応”出ちゃった」とお腹をさすった。
義経「相変わらず…危なっかしい事しやがって…」
…こっそり聞いている斯波「(シ~…)」と人差し指を口に当て、
繭子「(え!?)」部屋の隙間から、漏れる声にそばだてた…。