雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

天使の雨

2015年05月25日 | ポエム

天使の雨


ふたりが外へ出ると、
待っていたかのように雨が降りだした。
僕らはそれぞれに傘を手にしていた。
まず君が白い水玉模様の茶色の傘をさし
次に僕が無骨な黒い傘をさそうとしたとき、
君は僕の手を黙って抑え、
自分の傘を二人の間に差し出したのだ。

そうして僕らは君の小さな傘に入って
次の駅まで歩いていった。
それはあたかも僕の天使が僕にチャンスを与えるために
降らせた雨のように思った。
君の肩を抱くチャンスだ。
そうわかっていても
僕はそれすらできなかった。
(1975.10.19~2015.5.25)

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