遺伝子組み換え作物表示義務に穴 年1900万トン輸入でもほぼ見かけない(2017年5月13日中日新聞)

2017-05-13 08:50:52 | 桜ヶ丘9条の会
遺伝子組み換え作物表示義務に穴 年1900万トン輸入でもほぼ見かけない 

2017/5/13 中日新聞

食品に含まれる遺伝子組み換え作物に関する表示
 遺伝子組み換え(GM)の作物を使った食品の原材料表示のあり方について、消費者庁の有識者検討会が議論を始めた。国内では、食用のGM作物の栽培は行われていないが、年間の輸入量は約千九百万トンに上る。それなのにあまりに身近に感じないのは、加工の仕方や使用量が少ない場合、表示をしなくてもよい例外規定があることなどが影響している。消費者としては、より明確な表示を求めたいところだ。

 「GM作物を使った食品が食卓にも並んでいるはずなのに、口にしていると実感している人は少ない。『遺伝子組み換え』と表示する制度に抜け穴があるからだ。事実を知らせた上で、選択の判断を消費者に委ねるべきではないか。表示の範囲を拡大すべきだ」

 公益社団法人「全国消費生活相談員協会」(東京)の澤木佐重子さんは、そう指摘する。

 澤木さんは先月二十六日に初会合が開かれた消費者庁の「遺伝子組み換え表示制度に関する検討会」の委員の一人。検討会は、GM作物を使った食品の表示義務をどこまで拡大すべきか議論し、来年三月をめどに報告書をまとめる。

◆国内で食用栽培なし

 GM作物は他の生物の遺伝子を人為的に組み込み、農薬や害虫に抵抗力を持たせたものだ。日本では食用としての栽培をしていないが、海外では栽培が盛んになっており、輸入も増えている。

 そのため、国は二〇〇一年、大豆やトウモロコシなど五作物と、それらを原材料に使った豆腐や納豆、コーンスナック菓子など二十四品目の加工品での表示を義務づけた。徐々に表示義務を追加し、一一年からは、八作物、三十三品目になった。

 だが、スーパーなどで、「遺伝子組み換え」と表示された大豆やトウモロコシなどを全く見かけない。消費者庁食品表示企画課の担当者も「作物そのものが販売されているのは見たことがない」と話す。

 では、三十三品目の加工品はどうか。表示パターンは二つだ。原材料がGM作物の場合は「大豆(遺伝子組み換え)」などと表示する。GM作物と一般の作物が混ざらないよう原材料をきちんと分別管理していない場合は、「遺伝子組み換え不分別」「含まれる可能性がある」などと表示する。ただ、この二つもほとんど見かけない。

 一方、みそ、しょうゆ、納豆などでよく見かける「遺伝子組み換えでない」という表示は、義務ではなく任意だ。メーカーは、なぜ義務ではないのに表示しているのか。

◆口濁すメーカーも

 みそメーカー大手「ハナマルキ」広報宣伝室の担当者は「お客さまからGMを使っているか問い合わせを受けることがあったので、それならばあらかじめ開示しておこうと判断した」と説明した。

 ただ、あるしょうゆメーカーの広報担当は「急に質問されても答えられない」と話した。

 ある納豆メーカーの広報担当は「『GMを使っているのでは』と誤解を招く恐れがあるので表示している」と説明した上で、「GM絡みの記事なら、社名は出さないでもらえますか」と求めてきた。「遺伝子組み換え」は、あまり触れられたくない話題なのかもしれない。

 世界のGM作物の栽培面積は、この二十年で急激に増加した。国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構」(茨城)によると、一九九六年の百七十万ヘクタールから、二〇一六年には約一億八千五百万ヘクタールにまで広がった。米国とブラジル、アルゼンチン、インド、カナダの五カ国で、世界の九割以上を占める。

 日本は一六年、大豆やトウモロコシ(スイートコーンを除く)、菜種、綿実(わたのみ)を合計約二千百万トン輸入した。農研機構はそのうち約九割、約千八百八十万トンはGM作物と推計する。トウモロコシの76%は家畜の飼料用。大豆とトウモロコシは主に米国やブラジル、菜種は主にカナダやオーストラリアから輸入している。

 それでも「遺伝子組み換え」と表示された食品をほとんど見かけない最大の理由は、例外規定にある。大豆などの原材料に5%未満のGM作物が含まれていても、その事実を表示しなくても許されるからだ。欧州連合(EU)は0・9%、オーストラリアは1%、韓国は3%と、いずれも日本より低く設定している。

 さらに、原材料に占める重さの順位が一~三位までしか、GM食品を使用していても「遺伝子組み換え」と表示する義務はない。

 また、加工によって原材料の遺伝子を検出できなくなることを理由に、表示の義務がないものがある。しょうゆ、油、そしてジュースに用いる果糖ブドウ糖液糖などだ。

 消費者団体「たねと食とひと@フォーラム」が数年かけて、油、しょうゆ、発泡酒などのGM作物の使用状況を、各メーカーにアンケートしている。油は七社のうち五社が、原材料の菜種や大豆などについて「遺伝子組み換え不分別」と回答した。GM作物が使われている可能性が高い。

 しょうゆは全十社が、原材料の大豆について「遺伝子組み換えでない」と回答した。ただし、麺つゆなど「しょうゆ製品」は四社が、含まれる果糖ブドウ糖液糖やアルコールなどを「不分別」と答えた。やはり、GM作物が使われている可能性が高い。

 果たして、消費者庁の検討会の議論で、表示はどこまで進むのか。フォーラムの西分千秋事務局長は、表示対象の拡大を期待する。

 「GM作物は商業生産の開始から、まだ二十年ほどしかたっておらず、将来的に人の健康にどんな影響があるか分からない怖さがある。できる限り、GM作物を避けたいと考える消費者がいるのに、商品を選べない。せめて消費者がGM作物を摂取するかどうか選択できる表示に変えていくべきです」

 (池田悌一、木村留美)
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 「共謀罪」危険な法制度はや... | トップ | 日本の平和主義 9条の精神... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。