「共謀罪」で参考人質疑 参院法務委「法律としてずさん」反対・松宮氏「条約ありき不可解」反対・新倉氏(2017年6月2日中日新聞)

2017-06-02 09:19:23 | 桜ヶ丘9条の会
「共謀罪」で参考人質疑 参院法務委 「法律としてずさん」反対・松宮氏 「条約ありき不可解」反対・新倉氏 

2017/6/2 中日新聞

 参院法務委員会は一日、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案に対する参考人質疑を行い、有識者三人が意見を述べた。反対の立場の参考人二人は、法案に構造的な問題があり、法律を運用する捜査機関の乱用を招く恐れがあることなどを指摘した。

 ■矛盾だらけ

 「法律の作り方としてかなりずさんではないか」

 立命館大大学院の松宮孝明教授(刑事法、共産党推薦)はこう指摘し、一般人が対象になるとの懸念をなくすには「法文に明記しないといけない」と注文を付けた。「政府は凶器準備集合罪は暴力団以外に適用しないと説明していたが、裁判では学生団体にも適用された」と、立法段階の政府の見解が必ずしも限定的な運用につながらない実例を紹介した。

 犯罪の段階は「共謀→予備→未遂→既遂」と進んでいく。今回の法案では、より危険性の高い予備段階よりも共謀段階の罪が重くなるケースがある。政府は「組織性があり、危険性が高い」とするが、松宮氏は「逆のケースもあり、実務が混乱する」と説明した。

 ■人権侵害の懸念

 人権侵害に対する国連特別報告者の懸念について、青山学院大の新倉修名誉教授(刑事法、民進党推薦)は「懸念がないかは重大な疑義が残る。国際組織犯罪防止条約の締結や東京五輪のために、刑法の原則をひっくり返す法律を作るのは不可解だ」と政府の対応を批判した。

 共謀罪の要件となる「準備行為」を巡り、松宮氏は「犯罪実行のための腹ごしらえでもよいことになる。捜査機関によって準備行為と見なされるものが無限にあり、誰が処罰されるかは法律でなく運用者で決まる。法の支配でなく、人の支配だ」と批判。冤罪(えんざい)の恐れも高いと指摘した。

 治安維持法との類似点について、松宮氏は「治安維持法は一応、『国体の変革』などで対象を絞っているが、共謀罪は絞っていない。二百七十七の犯罪で誰でも対象にでき、さらにたちが悪い」と危ぶむ。一方、暴力団対策に詳しい西村幸三弁護士(自民党推薦)は賛成の立場から「極論だ。法案は謙抑的に作られている」と述べた。

 ■テロ防止に疑問

 「犯罪収益を剥奪することがテロ防止に役立つ」という西村氏の意見に対し、松宮氏は、国際組織犯罪防止条約がテロ組織への資金流入を防ぐ意義はあっても「あくまで間接的」と説明。「共謀罪でテロが防止できると考えるのは危険。誤解を招く」と懸念を示した。

 条約締結により、国外逃亡した犯罪者の引き渡しが容易になるとの政府側の主張にも、日本の死刑制度が障害になると指摘。「真に重大な犯罪の場合、死刑廃止国からは犯人の引き渡しを受けられない。実際に一九九三年にスウェーデンから拒否された」と述べた。

 西村氏はテロ防止策について「背景には社会から疎外感を感じている人が多いことがある。日本では移民や外国人に優しい社会を構築していかなければならない」との見方を示した。

◆付則に「取り調べ可視化」維新修正案を非難

 「共謀罪」法案を審議する参院法務委員会で一日、参考人の刑事法学者二人が取り調べの録音・録画(可視化)制度の検討を付則に加えた修正案を非難した。修正案は日本維新の会が主導し、自民、公明両党と衆院に共同提出、可決されている。

 立命館大大学院の松宮孝明教授は修正案に関し「可視化は共謀罪についてのみ問題となるのではない。今回の法案の修正だと言うこと自体が既におかしい」と非難。「共謀罪とは関係ない」と切り捨てた。

 青山学院大の新倉修名誉教授は「ないよりまし。録音録画だけでなく弁護人をつけたり、証人をつけたりしなければ十分ではない」と指摘。その上で「これを入れるから(法案を)通しましょうということなら、怒り心頭だ」と語った。

 維新の東徹氏が両氏に修正案への見解を求めた。

 (山田祐一郎、土門哲雄、大杉はるか)
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 「共謀罪は危険な道具」 米... | トップ | サイバーテロの防ぎ方 週の... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

桜ヶ丘9条の会」カテゴリの最新記事