ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
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赤岳と横岳:えっ! シャリバテ?

2017年05月15日 22時16分07秒 | Weblog
鉱泉小屋から行者小屋まで45分程かかった。
「腹減ったぁ~」という言葉を何度か言った覚えがある。
あるが、まだシャリバテになる程ではないという確信はあった。
それは経験値から出た思いであり、自信でもあった。
しかし、力が十分に発揮できていないという自覚もあった。
「いや、そんなことはない。そんなはずはない。」という思いで行者小屋に着いたが、体は正直だった。
「一応何か食べておくから」と言って、小さな5個入りのあんパンと魚肉ソーセージ、そしてBCAAを飲んでおいた。
速攻で効果が現れることはないが、食事休憩だけを取りすぐにスタートした。

天候はまずまずで、このあたりでは風は殆ど無い。
赤岳頂上付近の雲の流れを見ればやや風はあるが、強風という程ではないことがわかった。

今日のルートは文三郎尾根コースで登攀し、地蔵尾根から下山する予定だ。
昨年の三月にこのコースから登頂を狙ったが、季節外れの大雪警報であと30分程で頂上だというポイントで断念した。
リベンジという意味も含めて何としても登頂したい。

スタートはしたものの、相変わらずだるさのようなものを感じる。
「体調不良かな・・・」とも考えたが、その原因として真っ先に思いつくのは完全な寝不足だ。

数日前に降った雪が十分に固まってはおらず、膝程まで雪に埋もれた。
一歩一歩上に登るための足が重い。
やがて樹林帯の中へと進んだが、次第に厳しくなる斜度にペースは遅くなる一方だった。
「悪いなぁAM君、なんかまだ調子が出ないんだ。ローペースでいいかな?」
本当に申し訳ない思いだった。
俺がしっかりしなければならないことは当然のこと。
ましてや今日のターゲットは赤岳だ。
決して初級コースなどではない、それなりに体力も技術も知識も経験も必要な雪山だ。
「俺がリードしなきゃ。俺が登らせてあげなきゃ。」
ずっとそう思いながら何とかローペースで登り続けてはいた。


50歩登ったらほんの一息つくというペースをしばらく繰り返した。
だが、その50歩でさへもきついと感じる。
やがて30歩に減らし、うつむいたまま息を整えた。
「大丈夫ですか? もっとゆっくりでいいんですよ」
AM君のありがたい言葉だったが、これ以上のローペースでなければ登れないようだと、むしろ登頂を断念するべきだろう。
「ありがとう。なんとかこのペースで行けるよ。ホント心配かけてすまない。」
顔では笑っているが、力の入らない自分の体が情け無かった。


自分が先頭をきってはいたが、AM君にしてみれば「じれったい」というのが本音だろう。
「抜かして登ってもいいんだよ」とも言いたかったが、ルートの状況説明と判断ができるのは自分の方だ。
その俺がこんなざまでは・・・。

もうそろそろ森林限界線かというポイントまで登った時だった。
体が急に楽になった。
「行者小屋で食べた時刻から考えて、糖分がエネルギーに変わるとすればそろそろか・・・」
つまり、やはり単なるシャリバテだったということだ(笑)。
「いやぁーやっと力が出るようになったよ。もう大丈夫! たぶんシャリバテだったんだろうけど、そんな自覚はなかったなぁ。 本当に申し訳なかった。さて、ガンガン行こうか! 遅れを取り戻さなきゃね。」

こうなると単細胞であるが故に、ペースが一気に上がった。

カメラを向けられてもニッコリ(笑)。

「ここを登り切れば少しフラット気味のポイントあるからそこで一服しようか。」
アタック開始から初めてまともな休憩を取ることにした。
本当は、体調不良(シャリバテ)から座り込んでしまいたいこともあったのだが、ローペースで登攀することで何とか持ちこたえていたのだ。


カロリーが満たされればこっちのもの。
体調のことは気にせず、ルート状況だけに注意を払い登攀すればよい。
後は時々行動食さへ取っていれば大丈夫だろう。

「この先もひたすら登りにはなるけど、しばらくはそれほど危険はないから。分岐点を左に曲がってルンゼっぽくなってきたら危ないけどね。」

あまり不安を煽るような言葉は言いたくなかった。
先ずは自分が手本を示し、安全確実に登頂を目指すことが大切だ。
技術的なことのアドバイスはもちろんだが、優先すべきは安全だ。

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