ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

赤岳と横岳:やっと分岐点へ

2017年05月19日 23時52分18秒 | Weblog
10分程休憩を入れ再び登攀を開始した。
今はひたすら上へ上へとアイゼンの爪を雪面に噛ませるだけだ。

少し登って行けば僅かながらフラットなポイントがあることを知っている。

確かそのポイントには石碑が建っていたはずだ。
雪に埋もれていなければ必ず目印になるほどのものだったと記憶している。

黒い御影石のような石碑があったが、刻まれた文字はまだ読んだことはない。
近づいてその文字を読んでみた。
詳細はわからないが、どうやら亡くなった登山仲間の死を悼み建てたものではないかと推測した。
おそらくはこの付近で滑落死亡した友のためであると・・・。

ちょっと暗い気持ちになりかけたが、核心部はこれからだ。
気落ちしてはいられない。


阿弥陀岳との分岐点に近づいてきた。
今日は指標がはっきりと目視できる程に視界は良好だ。
このままくさりを辿って行けば10分程で分岐点となる。


エビの尻尾は思った程発達してはいなかったが、さすがにここは風の通り道。
いままであまり感じることの無かった強風が襲ってきた。
「これから先はどこを通ってもいいけど、右を目指すようにして登ればOK。ただし寄りすぎると落ちるから気をつけること。」

今はザレ場的な石や岩が少し見えているが、この石がルートファインディングのミスを防いでくれているのは確かだ。
全面が雪で覆われ、ましてやズボズボの状態で、更にはガスっていたりすればこの先のルンゼ登攀に向けて迷いやすいだけにザレている今日はありがたい。

AM君には事前に何度かルートの説明をしておいた。
これから先の大凡のルートを地図で再説明し、スピッツェで「あそこだ」と指した。
「手っ取り早く言えば、先に見えている岩峰の裏側を攻めるってこと。これからが文三郎の核心部だから、慌てず時間を掛けてもいいのでゆっくりと確実に登ろう。」
そう言った。
もちろんこのことは事前に何度も言ってはいたが、いざ現場に来れば再確認をする必要性が高いことなのだ。


風が強い。
ルンゼに入れば少しは岩壁が風を防いでくれるかなとも思ったが、山頂に近づけばそれだけ強風になることなど当然のこと。
心配なのはAM君だ。
碧空が覗いているとはいえ、雪山でこれだけの強い風を経験するのは初めてのことだし、メンタルの部分でめげなければいいが・・・。


いよいよ岩稜地帯に突入した。
ここで少しだけ休憩を取った。
核心部へ入って行くことへの再確認が必要だと思ったからだ。

下山する人がいた場合の交互通行の仕方。
ピッケルワーク、アイゼンワークの確認。
クサリがあれば遠慮無くそれを活用すること。
そして何よりも一歩一歩ゆっくりと登ること。
煙草を吸いながらそれらを再確認した。


さぁて、文三郎尾根の核心部だ。
楽しみだけど、今日は自分ひとりじゃない。
ちょっとだけいつもと違う緊張が走った。
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