Hong Kong Sustainability Diary

香港に住む自身が、香港で見て聞いた生の情報を持続可能性、環境保護などの観点で紹介し、日本と香港との比較分析も行います。

香港のごみ①

2007-06-10 | 香港の環境
香港で住み始めて約一ヶ月が経ちました。香港の持続可能性を脅かす大きな問題の1つは「廃棄物」です。私自身これまで何度か香港に訪れ、ごみ事情については見聞きしていましたが、自身の頭の整理のためにも、私が個人的に経験したことを含めて、紹介してみたいと思います。

今回は家庭ごみの分別について。香港ではごみの分別はありません。ごみの収集日という考え方もありません。香港では大半の住民は高層マンションに住んでいますが、各階にごみ捨て場のようなスペースがあり、何のごみでもそこに出したいときにどのような出し方でも出せます。ゴミ袋に入れなくても問題ありません。はっきりいってそのゴミ捨て場のスペースはあらゆるごみが散乱していて非常に汚いです。粗大ごみはさすがに無理だろうとか、電気製品はダメなのではと思うかもしれませんが、それもOK。大きな段ボールも特にたたまないでそのまま置いてあります。

本当に分別はないの?と聞かれるとそうでもありません。実はちゃんと分別ボックスがあります。だいたいマンションの1階には設置されています。環境保護署が1998年に始めた廃棄物減量計画の1つとして、古紙、アルミ缶、プラボトルの3種の分別ボックスが設置されることとなりました。

2004年8月からは、13のマンション(3万7千世帯、12万人)において試験的に各階に分別ボックスを設置して住民が容易に分別を行えるようにしました。試験実施で多いところではリサイクル資源量が倍になったとのことで、1つのマンションでは、資源物による収入が10万香港ドル(約150万円)にもなったと報告されています。

このような効果があったので2005年1月からはプログラム化して香港全域で実施を呼びかけ、2007年4月末現在で570 のマンションで各階に分別ボックスが設置され、ごみの分別促進が実施されています。相当なスピードで拡がっていると言えるでしょう。

拡がっている1つの理由は、このプログラムに参加すると環境保護基金から一部補助がもらえることです。分別ファシリティの設置のためその費用の半額、最大で1フロアー800香港ドル(1万2000円)、1つのマンションで25万香港ドル(約375万円)が補助として受け取れるそうです。

おもしろいのは、このプログラムに参加して、毎月の資源収集量を環境保護署に報告することで、1人当たりのリサイクル量を競うコンテストを毎年実施していることです。1世帯の1月の平均リサイクル量が30kg以上ならダイアモンド賞、22kg以上30kg未満が金賞、17kg以上22kg未満が銀賞、10kg以上17kg未満が銅賞、10kg未満が参加賞といった具合です。その他、平均リサイクル量のトップ10、リサイクルのために何かおもしろい工夫をしているところ、廃棄物の排出量が少ないトップ5には別途特別賞があるそうです。コンテストの表彰はちゃんと公の場で行われるとのことで、頑張っているところはすごく頑張っているのではと思います。

私の住んでいるところでは残念ながらまだ各階の分別ボックスは設置されておらず、おそらく多くはまだ全く分別は行われていないのが実態ですが、分別が実施されることで確実にリサイクル資源化率が高まるという効果は実証され、そのメリットも明確ですので、今後さらに拡がっていくのではないかと思います。 これからもすこしずつ香港のごみ事情について紹介していきます。

<参考> Hong Kong Environmental Protection Department http://www.epd.gov.hk/epd/eindex.html

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