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基調講演「施行10年を迎えた労働審判制度の意義と課題」菅野和夫東京大学名誉教授

2017-05-16 | 書記長社労士 お勉強の記録

 ずいぶん日にちが経ってしまったが、4月22日、東京大学法文1号館で開催されたシンポジウム「労働審判制度のこれから-労働審判員の役割と課題」及び労働審判員連絡協議会設立総会に参加してきたが、その時の、菅野和夫東京大学名誉教授の基調講演「施行10年を迎えた労働審判制度の意義と課題」についてメモを残しておく。


 労働審判制度は、平成11年頃からの、司法制度改革の波と個別労働紛争解決制度整備の波が重なって、司法制度改革審議会、労働検討会での議論を経て出来た制度であって、まずは制度構想時を思い出からお話しされた。

 「労働関係事件への総合的な対応の強化」として検討するべき事項として
①労働事件に関し、民事調停の特別な類型として、雇用・労使関係に関する専門的な知識経験を有する者の関与する調整制度の導入
②労働関係に関する専門的な知識経験を有する者の関与する裁判制度の導入の当否、労働関係固有の訴訟手続きの整備の当否
③労働委員会による不当労働行為救済手続きにおける審査の遅延と事実上の五審制への対応


 ①に関しては「やるんだ」が前提、労働検討会では、実際上は、早い段階で①、②に議論は集中、③は厚生労働省内の検討に委ねていた。
①、②を合わせた議論の焦点は、司法の中に労働調停を超えた個別労働紛争に特有の解決制度を創設すべきか否か。
その前提となった論点は
ア)労働関係事件にはどのような専門性ありや ← これは、当初、個別労働紛争に、裁判官にわからない専門性はないという考え方だった。
イ)専門性を補うために労使実務家を労働関係事件の裁判手続きに参加させるべきかどうか(参審制) ← 最大の争点、強い反発があった。
ウ)固有の裁判手続きを要請する労働関係事件の特色とは何か ← 簡易・迅速・低廉

 ア)に関しては、労働法令に関する知見、職場や事業の実情・慣行などの知見、解決の労使の均衡に関する知見、という専門性があると主張した。
平成15年に「中間とりまとめ」が出来たが、その後も、その玉虫色の内容の故に紛糾した(調停の審判の関係いかん、入口強制と出口強制の是非)。


 労働審判制度の意義。
〇1990年代(その後半)以降の雇用社会の変化のなかで増加した個別労働紛争の解決制度整備の社会的要請に応じて、司法制度の中に、個別労働紛争の専門的解決手続きを設置できたこと
〇司法における労働審判制度の創設とその定着によって、わが国の個別労働紛争制度は国際的にみても遜色ないものとなった

 今後の課題は?
〇わが国の個別労働紛争解決に関する制度全体や労働行政の制度、司法の制度、その中の労働審判制度については、それぞれに課題あり。
〇最大の課題は手続きの進め方、審判官・審判員・代理人の姿勢や質、弁護士会の対応などにおける地域格差?
〇3500件程度に落ち着いたような事件数をどう見るかも重要。(← ILOは、日本は職場内における労使関係紛争解決制度(予防の制度)が進んでいないと指摘している。事件数は経済情勢が変われば増減する)
〇労働審判制度の基本規定に則した制度本来の趣旨を再確認し、手続きの様相を見渡して、制度趣旨に即した手続きモデルはどのようなものか、といった初心に帰った検討も行えるのではないか。


 続いて労働審判制度の運用状況と裁判所からの評価について最高裁判所の小田課長が解説(様々な推移やデータを見ていると、労働組合の運動力の変質や組織率の推移に非常にリンクしていることがわかる…)
最後に労働審判員に求められる資質について
①労使関係に関する専門的知識、②問題となる事実を把握して法的観点から検討する能力、③説得力のある調停案を考える能力、の3点をあげられた。
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