労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

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9・29公開シンポジウム -「ライドシェア」問題を考える-を開催した

2016-09-30 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 9月29日、9・29公開シンポジウム -「ライドシェア」問題を考える-(主催「交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える― Forum for Traffic Safety and Labour http://www.forumtsl.org/」)を、衆議院第2議員会館で開催。200名以上の参加者に加え、21人の衆参議員と多数の議員秘書も出席。弁護士、学者、NPO、利用者、ドライバー、議員、労働組合、それぞれからの、様々な角度からの問題意識を共有し、何をすべきかの思いを一つにし、集会は成功裏に終了した。(シンポジウム資料


代表世話人の宮里邦雄弁護士(日本労働弁護団元会長・私鉄総連顧問弁護士)
「本シンポジウムで、ライドシェアなるものの問題の本質を捉えたい。どういうビジネスモデルなのか、従来のタクシー事業とどう違うのか、安全は確保できるのか、責任はシェアされる構造になっているのか、労働者の雇用や労働条件はどうなるのか。タクシーは国民の足として公共交通の重要な役割を担っている。十分に検討されずに、成長戦略で導入されようとしていることは、国民の公共的問題として大きな危機感を持っている。」(宮里弁護士挨拶


戸崎肇氏(慶應義塾大学総合政策学部特任教授、大妻女子大学教授)
「この集会は『反対』ではなく『考える』となっていることが重要。現在、ライドシェアは、地方の公共交通が十分でないところの間隙を縫ってきている。対案が必要だ。どのような公共交通サービスを提供するのか。その対案がないと、市民は納得しないし、世論は付いてこない。交通政策基本法が出来たのに、未だにそれが出来ていない。今あるものを有効活用する考え方であって、シェアリングエコノミーはけっして新しい考え方ではない。しかし交通は、安全を確保することが最重要であり、シェアリングエコノミーには馴染みにくく、とりわけ2020年の需要増に向けて性急に導入する必要があるのかという疑問がある。しかも利権に関わる者が、政策立案・推進に関与していて、肝心のステークホルダー(利用者・事業者・労働者)が参加せずに議論されている。マスコミも政府の方のみを向いて、そのことを問題にしていない。ライドシェアは、先進国で問題を起こしている。日本は先進国に学ばなくてはならないのに、それをしようとしていない。問題は、①ドライバーの身元保証vsプライバシー保護の問題、②車両の整備責任・ドライバーの健康管理、③相対取引の負担。さらに、社会全体に対して安定供給できるのか、クリームスキミングの問題もある。地域生活を支えるためには、安定供給は大きな問題だ。地方バス、ローカル鉄道がだめになった場合、そこをタクシーがどう埋めるか。交通政策基本法をしっかり活かさなくてはならない。2020年までなら、なにをやってもいいという風潮があるなか、急いで対案を出さなければならない。加えて、総体的な人材不足の問題もある。待遇改善につなげ、適正な競争条件も担保しなくてはならない。安全対策の問題を放置して、2020年を、なし崩し的に向かえてはならない。」(戸崎教授講演資料


内田聖子氏(アジア太平洋資料センター事務局長)「サービス貿易・オンデマンドエコノミー」
「TPP問題には、ウーバーなど、ライドシェアサービスも含まれる。サービス産業による「サービス貿易」には、バス・電車などの運送サービスも入ってくる。キーワードとして、①オンデマンドエコノミー、欲しいときに欲しいだけコンピューターリソースが手に入る、経済活動の利用だ。②ギグエコノミー、ギグとは日雇い・請負、UberやAirbnbなどが代表的存在。オンデマンドエコノミーが可能になった理由は、モバイルコンピューティングと、アーバナイゼーション(都市化)とサービスの迅速化。アメリカの大統領選でも、Uberificationは争点の一つになっており、民主党は懸念を示し、共和党は肯定的な立場だ。懸念事項として、①他人情報(ドライバー・ユーザーともに)が収集されビッグデータ化されること、②サービス貿易としての問題、TPP、TiSA、グローバルな規制緩和だ。誰がルールを決めるのか、そこが大きな問題だ。」

新里宏二弁護士(日本弁護士連合会元副会長)
「ライドシェアは、労働の問題でもあるが、利用者の安全という視点でも重大な問題。消費者を巻き込んで『安全はどうしてくれるのか』という点からも運動を拡大していきたい。」

棗一郎弁護士(日本労働弁護団幹事長)
「労働弁護士の視点として、働く人を個人事業主として位置づけるという、日本の雇用社会にインパクトを与える問題だと感じている。請負や事業主に偽装する問題は、保険や証券の外交員、訪問販売員、バイク便など宅配、観光ガイド、記者、プログラマーなどで問題となり、現在もセブンイレブンの店長やベルコ事件などで裁判になっている。規制する法がなく、判例法理に頼っている状況だ。オンデマンドビジネスは、仲介するだけだと偽装して、責任を逃れながら労働力を商品化して利用する。日本において、労働力を使うときには労働契約が前提であるとしていかなくてはならない。」

交運労協の慶島事務局次長
「ライドシェアは、タクシーだけでなく、バス・鉄道・運送にも波及してくる問題。交運労協は1月に関係省庁に、慎重な対応を求める要請を行ってきた。」

国際運輸労連(ITF)東京事務所の瀧代表
「先日、ベルギーのアントワープで、19カ国、37組織が参加する、Uberに関する会議が開催され、出席してきた。ウーバービジネスモデルは、違法なビジネスモデルであり、各国で訴訟され、労働者の立場が保護される判決が出ている。アメリカでは、搾取、税逃れ、福利の崩壊と、非常に深刻な問題だとされている。11月にはITFアジア・太平洋の総会が日本で開催されるので、ライドシェアの問題を取り上げていきたいし、12月のベルギーのブリュッセルで開催される総会でも掘り下げていきたい。」

東京の法人タクシーで働く女性ドライバー(村瀬沙織さん・八南交通労働組合)が「タクシーで働く意義と安全に対する取り組み」、また女性利用者(佐藤千恵子さん)が「タクシーに求めること、日本のタクシーの素晴らしさ」について発言。


辻元清美衆議院議員(私鉄総連準組織内議員・民主党タクシー議員連盟幹事長)
「様々な立場から、それぞれ不安や疑問に思っていたことを発言し、共有し、参加者が一つにまとまった有意義な集会となった。利用者に分かりやすく伝えていく、社会にも分かりやすく訴えていく、大きなきっかけとしたい。地方自治体では、首長も含めて、理解が進んでいない。わたしたちは、元気と勇気と希望を語れる訴えに変えていきたい。自分は、内閣委員会の委員に就任したので、内閣委員会でもこの問題を取り上げていきたい。」

出席した国会議員(敬称略)
衆議院:赤松広隆、逢坂誠二、金子恵美、小宮山康子、近藤昭一、佐々木隆博、武正公一、辻元清美、長島昭久、中根康浩、松原仁、宮崎岳志、吉川元
参議院:大野元裕、大島九州男、高木義明、野田国義、福島瑞穂、藤田幸久、牧山ひろえ、増子輝彦
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