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写真付きで日々の思考の記録をつれづれなるままに書き綴るブログを開始いたします。読む人がいてもいなくても、それなりに書くぞ

閑話休題・・不動産勧誘と心理学

2013-05-31 23:48:51 | 日記
A.マンションいかがですか?お得ですよ・・
 しばらくこの手の電話が途絶えていてよかったのだが、昨日研究室にまた不動産購入の勧誘電話がかかってきた。これもアベノミクス効果のひとつだろうが、金融市場にじゃぶじゃぶ金を流せば、次は不動産と土木建設の励起、土地と建物の値段がもうじき上がるよと噂を流すだけで、多少とも金を持っている人々は要りもしない投資や思惑買いに走る。もはや表面上の気分はバブルになっているのだろう。あの80年代バブルの狂気の一瞬、何もしなくても勝手に土地の値段がどんどんあがって、名目上大金がどんどん入ってきた幻のような短い時代。それを知っている人は、今のこれをどう思うだろう?まともな頭があれば、あんなことがまた来るとすれば、それはまっとうな経済成長なんかではなくて、無理矢理作り出した前回以上の異常事態に違いないと思うだろう。早く手を引いた方がいい。でも、バブルを知らない世代がもう大人になっている。
 たぶん今の多くの若者は、基本的に金を持っていないのでバブルに踊る愚劣には巻き込まれないだろう。問題は、中途半端にあの金まみれのバブルを知っている中高年である。彼らの一部はそれなりに金を持っている。もっと金があればあれこれやりたい欲望も掻き立てられる。アベノミクスがいつまで続くか一抹の危惧はあっても、またかつての景気のよい日本がやってくるのは楽しい夢だ。しかも作今の株価の急落はさらに不安を駆り立てて、短期的な利益を早く手にして逃げようという愚者の狂騒が、しばらくは続くと思う。今日のニュースで住宅ローン金利が久々に引き上げられるというニュースが流れた。ここが勝負、不動産屋は早く売らないと元が取れない。ひとびとはますます煽られ尻に火が付き、焦って怪しげな商品に大金を投じる。それによってほんとうに儲ける人が確実にいるが、大多数は最後に泣きを見るだろう。
 ぼくはそのマンション勧誘の若い男性らしき声に、少しも自分の商品が顧客にもたらす利益について疑いをもっていないようなので、少し説明してやろうかと思ったが、授業が迫っていたのでこれだけ言って断った。きみは多分、このワンルーム・マンションをぼくが買えば、それを人に貸して家賃が入る上に節税になって、購入ローンの支払いを上回る利益が得られるから、こんなお得な話はありませんと言うだろうが、それは建物の減価償却、つまり建物は傷んでいくということと、切れ目なく家賃を払う借主が常にいるという前提の話で、きわめて危うい。しかも節税という思想をぼくはポリシーとして好まない。今日本は1000兆円の国の借金を、子ども世代に残している。それを自分だけの利益のために税金を払わないでおこうというのは、けしからん話だと思う。彼は何も言わなかった。
 どこで研究室の電話番号を手に入れたか知らないが、以前もよくこの手の勧誘電話がかかってきたことがあった。大学の教員は安定した所得のある富裕層だとでも思っているのだろう。そういう大学教師も多少はいるのだろうが、それは勤務先からもらう給与以外の資産や所得がある一部の人間で、われわれごときはただのサラリーマンと変わらない。それが目先の誘いにのって不動産や株などに手を出せば、ぼったくられて損をすることはまず間違いない。
 アベノミクスの作り出した短いバブルは、この手の犠牲者を生みだしてあっけなく終わるだろうという予感がする。善良な人々のために、そうならないことを祈りたいがたぶんダメだろう。それは、人の日常生活を支える実体の生産と消費による経済ではなく、金回りへの思惑、期待、気分の膨らまし、その膨らみ加減で一瞬のうちに大きな利益を得よう、自分だけ儲かったらあとは知らない、という世界だから、しょせんはかない、のである。こんな世界には関わらないのが一番人間らしいのである。

B.心理学というのは、それをちゃんと学んだことのない人には、なにやら人間同士の心の機微を科学的に分析して、人の悩みを説明したり解決したり、してくれる「心の医者」みたいなものかと思われているようだが、実際に心理学というものを学んでみれば、そういうイメージは誤解に近いことがわかるだろう。心理学を精神医学や精神分析と混同している人も多いが、それぞれ立場や方法が異なる学問研究で、臨床心理学に限っても中はまた分れている。また精神分析といってもその中は、いくつか異なった流派がある。アメリカなどでは一時、なにか悩みがあると高額の費用を払って精神分析にかかるのが流行ったが、医療としての有効性は疑問視するむきも多い。
 日本では20世紀の後半、子どもの不登校やいじめなどが問題視されてから、医師ではなく学校カウンセラーというものを配置するようになり、カウンセラーという職業が広く知られるとともに心理学と結びついた資格にもなっているが、心理学を学べば誰でもカウンセリングの専門家になれるわけではないし、経験と資質がものをいう難しい仕事である。しかし、それとは別に、現代社会とくに日本を含む先進諸国では、さまざまな局面で人の行動を左右するものとして、従来の金銭や物欲や権力欲による動機、経済学や政治学が取り扱ってきた目に見えるものではなく、人の心の中でもやもやと蠢き突き上がってくる心理、なんとなく世間に漂う気分みたいなものが多くの人を動かしている、とみる、いわゆる「心理学化する社会」という言説が現れた。
 従来もこういった現象は社会心理学という名前で研究されてきたのだが、ぼくが昔大学で社会心理学のゼミに入って本を読んでみたとき解ったのは、「社会の心理」を社会システムの側から考える社会心理学と、「人間の心理」を複数の人間関係として測定分析する社会心理学ではまったくやっていることが違うということだった。今また「心理学化する社会」になっているとすれば、それはどっちか?アベノミクスが人々の期待を煽っているということを、社会心理学は証明してほしいが、そういう研究はあるのだろうか?社会心理学から離れてしまったぼくは、寡聞にして知らない。

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