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米国ベストセラー本の黄金律を計量的に明らかに

2017-06-13 22:23:24 | 読書ノート
ジョディ・アーチャー, マシュー・ジョッカーズ『ベストセラーコード:「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム』川添節子訳, 日経BP, 2017.

  計量文献学。文学研究者である著者らは、5000の小説作品をコンピュータに読み込ませてその特徴を記憶させ、そのうちベストセラー作品の特徴を基準に未知の作品がベストセラーになるかどうかを予想するプログラムを作った。その予想精度はおおよそ80%だという。さて、プログラムがはじき出したベストセラー作品の特徴は何か、というのが本書の主題である。あくまで一般書籍であり、残念ながら技術的なことについての詳しい説明はない(追記で簡単な説明はある)。2016年のThe bestseller code: Anatomy of the blockbuster novel (St Martins)が原書である。

  ベストセラーになるテーマ、プロット、文体、キャラクターとは何か。本書に従えば、テーマにおいて愛情ある関係を描くのは良いが、セックスばかり描くのはよろしくない。プロットはおおよそ7パターンにわかれる。文体は、修飾過剰なものよりはジャーナリスティックで簡潔に。キャラクターとしては、心に闇を抱えた影のある人物(特に若い女性)がよい、などなど。そんなに意外でもない知見が多いが、計量的に明らかにできたというのが重要な点だろう。ただし、最近の海外小説の作家やタイトルが多く紹介されており、それらのイメージが湧かないとニュアンスのわからないところもある。

  これまで「名人芸」の領域だったことが、ここまでわかるようになったか、というのがまずもっての感慨。テキストマイニングと機械学習の進展についての驚くべき報告だろう。しかしながら、著者らは機械による「人の心を動かすような」小説の執筆に否定的である。けれども個人的には、機械による執筆は将来ありうるのではないかという感想を持った。なお誰もが持つだろう疑問、米国におけるベストセラーの話だという限界、およびここで挙げられた黄金律を使った小説が量産されればいずれ飽きられるはず、という話はすでに本書の解説において西内啓が指摘している。
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