ジェシー・H.シェラ『パブリック・ライブラリーの成立』川崎良孝訳, 日本図書館協会, 1988.
図書館史ひいては図書館学の古典。原著は1949年。植民地時代から19世紀半ばまでの北米の公共図書館の成立について辿っている。その焦点は、「ソーシャル・ライブラリー」いわゆる会員制の図書館から、自治体公認の組織であり・公費による支援を受け・利用者層を限定しない・無料で利用できる・図書館すなわち「パブリック・ライブラリー」への移行である。
研究対象は北米の初期植民地に限られているが、訳者によれば著者は公共図書館の普遍的展望を描こうと試みているとのこと。ニューイングランドを近代社会の条件が整った最初の場所とみなすというのはもともとウェーバーの発想だ。この本もその影響があるのだろう(誰かがすでに指摘しているかもしれない)。この点は、本書の議論の構成には影響しないが、議論の「価値」には影響する。読者は、ウェーバーの説が現在ではあまり支持されていないことを知っていおいてもいいとも思う1)。
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1) 以前のエントリで紹介した本(A, B)で、ウェーバーの説が他の説と比較されている。
図書館史ひいては図書館学の古典。原著は1949年。植民地時代から19世紀半ばまでの北米の公共図書館の成立について辿っている。その焦点は、「ソーシャル・ライブラリー」いわゆる会員制の図書館から、自治体公認の組織であり・公費による支援を受け・利用者層を限定しない・無料で利用できる・図書館すなわち「パブリック・ライブラリー」への移行である。
研究対象は北米の初期植民地に限られているが、訳者によれば著者は公共図書館の普遍的展望を描こうと試みているとのこと。ニューイングランドを近代社会の条件が整った最初の場所とみなすというのはもともとウェーバーの発想だ。この本もその影響があるのだろう(誰かがすでに指摘しているかもしれない)。この点は、本書の議論の構成には影響しないが、議論の「価値」には影響する。読者は、ウェーバーの説が現在ではあまり支持されていないことを知っていおいてもいいとも思う1)。
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1) 以前のエントリで紹介した本(A, B)で、ウェーバーの説が他の説と比較されている。