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高価だがカラー図版が美しい図書館史入門書

2015-12-28 10:57:58 | 読書ノート
スチュアート・A.P.マレー『図説図書館の歴史』日暮雅通訳, 原書房, 2011.

  世界の図書館史の入門書。A5版で4,200円とやや高価であるが、カラー図版が多いためであって、専門家向けというわけではない。高校生でも読めるレベルである。原書はThe Library: An Illustrated History (Skyhorse Pub, 2009.)。著者についてはよく知らないが、歴史やスポーツの本を主に書いているライターのようだ。

  内容は、古代ニネヴェの図書館から始まって、ギリシア・ローマの図書館、西洋中世の教会附属図書館、ルネサンス期以降の王侯貴族および大商人の個人蔵書、ソーシャル・ライブラリー、公共図書館と展開するオーソドックスな流れを押さえている。加えて、中国やイスラムにおける図書館の記述も豊富なところが特徴だろう。日本についての言及も少しあるが、それほど重きを置かれていない。

  読んでみると、愛書家が称えられている一方で、略奪によって歴史的に重要な蔵書の形成がなされたという殺伐とした事実もわかる。あと、火事で消失した蔵書の話もけっこう多い。付録として、世界の代表的な図書館──主に各国の国立図書館の紹介で、日本からは国立国会図書館のみ──の紹介がある。総じて、貴重な本や研究用の本を集めている図書館が重視されているようだ。

  以上、今さらながら積読本だったので読んでみた。なお、序文を書いているテキサス大学のドナルド・G・デイヴィス,Jr.って、ALAの幹部でありながらCIPAに関する裁判でその証言が「図書館はパブリックフォーラムではない」という判断の論拠に使われた人だな。
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