谷本奈緒『恋愛の社会学:「遊び」とロマンティック・ラブの変容 』青弓社ライブラリー, 青弓社, 2008.
日本における1970年代の恋愛観と1990年代以降のそれの比較。雑誌記事の分析から、1970年代には結婚または失恋という「結末」を重視した恋愛観が主流だったが、1990年代になるとアプローチ法など恋愛の「過程」が重視されるようになったという。その上で、結婚は社会秩序に迎合するものとして「真面目」、恋愛は快楽をもたらす「遊び」として対置させられている。
議論はわかりやすく、時代の変化もよく掴める。また、記述も冷静であり、この手の著作にありがちな「同性または異性を断罪をする!!」的なヒステリックな部分が皆無であるのは好ましい。ただ、データに偏りがあるのではないかと疑わせるところと、「バルトが…」「ゴフマンが…」という学者の引用が本書の装いをいかめしいものにしているのがもったいない。後者は分析にあまり貢献していない印象なので、もっと持っているデータを見せてくれるほうが面白くなったように感じる。
日本における1970年代の恋愛観と1990年代以降のそれの比較。雑誌記事の分析から、1970年代には結婚または失恋という「結末」を重視した恋愛観が主流だったが、1990年代になるとアプローチ法など恋愛の「過程」が重視されるようになったという。その上で、結婚は社会秩序に迎合するものとして「真面目」、恋愛は快楽をもたらす「遊び」として対置させられている。
議論はわかりやすく、時代の変化もよく掴める。また、記述も冷静であり、この手の著作にありがちな「同性または異性を断罪をする!!」的なヒステリックな部分が皆無であるのは好ましい。ただ、データに偏りがあるのではないかと疑わせるところと、「バルトが…」「ゴフマンが…」という学者の引用が本書の装いをいかめしいものにしているのがもったいない。後者は分析にあまり貢献していない印象なので、もっと持っているデータを見せてくれるほうが面白くなったように感じる。