小谷野敦『文学研究という不幸』ベスト新書, ベストセラーズ, 2010.
人文学系の学者の業績と所属・地位についてあれこれ論じる書籍で、文学研究に関する大学の制度を点検したものではない。簡単に言うと大学人に関するゴシップだが、かなりの読書家でないと分からないような人名のオンパレードであり、この点で著者の博識が冴えている。人名索引も付いており、編集にもそれなりの気を配ったことが伺える。論述はルサンチマンを湛えたいつもの小谷野節で、コンセプトはポール・ジョンソンの『インテレクチュアルズ:知の巨人の実像に迫る』(講談社学術文庫, 2003)を思い起こさせるものの、登場する人物はあそこまで滅茶苦茶ではない。概して、日本人の文学研究者は「ちょっと」おかしい程度だと言える。
人文学系の学者の業績と所属・地位についてあれこれ論じる書籍で、文学研究に関する大学の制度を点検したものではない。簡単に言うと大学人に関するゴシップだが、かなりの読書家でないと分からないような人名のオンパレードであり、この点で著者の博識が冴えている。人名索引も付いており、編集にもそれなりの気を配ったことが伺える。論述はルサンチマンを湛えたいつもの小谷野節で、コンセプトはポール・ジョンソンの『インテレクチュアルズ:知の巨人の実像に迫る』(講談社学術文庫, 2003)を思い起こさせるものの、登場する人物はあそこまで滅茶苦茶ではない。概して、日本人の文学研究者は「ちょっと」おかしい程度だと言える。