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タイトルとジャケ写からは男臭い世界に思えるが

2017-06-10 22:11:44 | 音盤ノート
Prefab Sprout "Steve McQueen" Kitchenware Records, 1985.

  英国産ポップ。日本ではネオアコ文脈で語られることが多いが、あまりギターは前面に出ておらず、青臭さの残るアダルトコンテンポラリーといったほうが適切だろう。ロックとしてはパンチが弱く、ジャズやソウル色がかすかに漂うも薄めで、楽曲に強烈なインパクトもなく、とにかくマイルドで中庸である。基本、ボーカルメロディで聴かせる音楽である。大きなヒット曲があるわけでもないし、活動歴の長さのわりには作品数も少ない。今年になって彼らを採りあげた本が発行された1)が、いったい誰が読むのだろうか。

  本作は彼らの二作目で出世作。後年(参考)ほどスローに歌い上げず、まだバンド的な演奏である。プロデューサーがThomas Dolbyという、自身でもヒット曲を持つエレポップ系の人なのだが、おそらく彼の功績だろう、シンセサイザーの入れ方が実に巧みである。しつこいリフレインの裏で隠し味的にシンセを鳴らして曲の印象を変化させる。楽曲のメロディは「古き良きアメリカ」の世界であり、ティンパンアレーからブロードウェイのミュージカル、ドゥーワップなどを想起させるもので、聴く人によってはそれほどツボにこないかもしれない。それを優男が、時折力んだりして歌う。

  本作のジャケット写真が「革ジャンとバイク」で、日本でいうネオアコの中性的なイメージとはずれている。リバプールのPale Fountainsもそうだが、英国の初期のギターポップバンドはマッチョにあこがれる労働者階級の少年層にアピールしようとしていたのがわかる。繊細で落ち着いたサウンドと、ジャケットのバンドイメージは全然マッチしていない。なお、2007年にLegacy Edition版が発行さており、おまけのCDで収録曲のアコースティック・バージョン(2006年録音)が披露されている。まあ悪くはないんだけど、通常盤でいいんじゃないかな。

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1) 渡辺亨『プリファブ・スプラウトの音楽:永遠のポップ・ミュージックを求めて』DU BOOKS, 2017,
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