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原書が電子書籍で売れたらしい短い世界史本

2017-04-18 09:43:21 | 読書ノート
クリストファー・ラッセルズ『いちばんシンプルな世界の歴史』島田誠監修, 得重達朗訳, 日本能率協会マネジメントセンター, 2015.

  世界史。「大学生以上ならマクニールの『世界史』を読むべし」と言いたいところだが、あれは長すぎて、高校時代に世界史を授業として採っていないという人には読みこなすのが大変かもしれない。一方、本書は314頁ほどの短い通史で、大雑把に歴史を把握したいという初学者に向けて書かれている。原書はA short history of the world (Crux Publishing, 2012)。著者はフリーライターのようだが、英国で電子書籍出版しているこのCrux社の"director"としても検索されてくる。

  歴史的事項を記した短い節が延々と続いてゆく記述スタイルだが、流れがつかめるように配慮されているので、ブツ切れの事件を読まされているという印象はしない。例えば、いくつかの節の最後で大きな事件のその後の影響を簡単に記しており、後に続く節へと話をつないでいる。また、節のなかでも「なぜ」と問いを立てて疑問に答え見せ、読者の興味を喚起することもある。ただし、細かいところは深堀りせず、簡単な説明を加えているだけ。基本的な事件・事項のみに説明の範囲を留めている(いくつかの事項はコラムとしている)。

  最近の「世界史」を銘打った一般書籍──特に新書で出ているようなもの──と比べると、偏りの少ないバランスのとれた記述だろう。新説・珍説などで目を引くこともなく、高校の教科書ほど事項の羅列ではないけれども重要どころを押さえ、充実しているというほどではないがわずかな説明で読者を分かった気にさせる。なおかつ、そこそこ面白い。これは、なかなかできない芸当であり、高く評価されてもいい。高校レベルの世界史の副読本として良いと思う。
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