歌舞伎芝居日記

10年の歌舞伎芝居を振り返るタイムスリップ日記。

Y075 坂東吉弥(大和屋)

2010-09-23 01:05:58 | 日記
一番狂言「三人吉三巴白浪 八百屋久兵衛」
今も普通に舞台で見ている様な錯覚さえ覚える。あの声が耳に残っている。それほど急に逝ってしまった。亡くなった後に見たシネマ歌舞伎「野田版 鼠小僧」辻番人與惣兵衛、一生懸命に動く姿が懐かしく悲しく思い出された。過日の再演でも同様であった。そして表題の役、前にも言ったがあれだけ大事にわかりやすく科白を話せる役者が他にいただろうか。だからこそ「三人吉三巴白浪」の入り込んだ関係が上手く解きほぐされていくのである。老役としても数々の貴重な役で重要な地位を占めつつあった。「義経千本桜」鮓屋弥左衛門 の気骨さ、「梶原平三誉石切」青貝師六郎太夫の暖かさ、「桂川連理柵」弟儀兵衛の憎たらしいほどの意地の悪さ、そして「封印切」丹波屋八右衛門の少しひねた苦み走ったボンボン。どれもが坂東吉弥その人でないと表現できない個性を持っていた。そしてわかりやすかった。しかしただ単純と言う意味のわかりやすさではなく、人物を丁寧に作り込んだ上でのわかりやすさであった。若手が大いに見本にすべき演技術であろう。それにしてもこれからの人であった。美声にさえ聞こえたあの悪声が、今も耳に残る。
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三人吉三巴白浪 シネマ歌舞伎
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