一番狂言「慙紅葉汗顔見勢 弾正妹八汐」
最期の狂言となった「蘭蝶」桜川蘭蝶実は翅蝶三郎・蘭蝶女房お宮を観たものは誰もが忘れられないだろう。この狂言の持つ雰囲気、20世紀と言う時代、そして宗十郎と言う稀代の役者が消え去ろうとする瞬間を目にしたからである。宗十郎の痛々しさ、しかし決して力むことなく、どこかふわふわと超然とした演技で歌舞伎座の舞台から去っていった。思い出される役々の中でまずは表題の役。二代目鴈治郎を彷彿とさせる濃厚な八汐。今、八汐にはまる役者が仁左衛門しか見当たらない。しかも仁左衛門には無い濃厚さを持っていただけに生きていたならと思う限りである。「盲長屋梅加賀鳶」女按摩お兼も同様であった。すでに自らの会で悪婆物にも取り組んでいただけに、十二分な出来。これも現在の歌舞伎界に適任がいないだけにもったいなかった。さらに「本朝廿四孝」腰元濡衣も雀右衛門と相対して決して劣ることなく、色を感じさせる役になっていた。この役も適任が見当たらないのである。考えると現在の歌舞伎界に適任の無い役の多くが宗十郎に期待できた役なのだ。それらの役々を早々に持っていってしまうとは。誰に任せれば良いのか。
最期の狂言となった「蘭蝶」桜川蘭蝶実は翅蝶三郎・蘭蝶女房お宮を観たものは誰もが忘れられないだろう。この狂言の持つ雰囲気、20世紀と言う時代、そして宗十郎と言う稀代の役者が消え去ろうとする瞬間を目にしたからである。宗十郎の痛々しさ、しかし決して力むことなく、どこかふわふわと超然とした演技で歌舞伎座の舞台から去っていった。思い出される役々の中でまずは表題の役。二代目鴈治郎を彷彿とさせる濃厚な八汐。今、八汐にはまる役者が仁左衛門しか見当たらない。しかも仁左衛門には無い濃厚さを持っていただけに生きていたならと思う限りである。「盲長屋梅加賀鳶」女按摩お兼も同様であった。すでに自らの会で悪婆物にも取り組んでいただけに、十二分な出来。これも現在の歌舞伎界に適任がいないだけにもったいなかった。さらに「本朝廿四孝」腰元濡衣も雀右衛門と相対して決して劣ることなく、色を感じさせる役になっていた。この役も適任が見当たらないのである。考えると現在の歌舞伎界に適任の無い役の多くが宗十郎に期待できた役なのだ。それらの役々を早々に持っていってしまうとは。誰に任せれば良いのか。










