ヒロシの日記

たくさんの人たちの幸福を願いつつ、常に自然な生き方を望む私の日記です。

はるにれ

2009-02-18 00:19:16 | 日記
はるにれ
作・絵(写真): 姉崎 一馬
出版社: 福音館書店
税込価格: 945
(本体価格:900)
発行日: 1981年11月10日



はるにれ(ハルニレ)について、あるサイトからの引用です。
■北日本の山地に多い落葉広葉樹の高木で、高さ25メートル、直径50センチ以上になる。一般にニレとして親しまれ、単にニレといった時はハルニレをさす。洋名、エルムも知られている


絵本の中の物語は秋から始まりました。
 
黄色く枯れた草原の真ん中に、やはり葉を黄色く染めたハルニレの木が立っています。
ハルニレの葉は秋の斜光を受けて、金色に輝いています。青い空にはすじ雲が広がっています。

ハルニレはまだ葉をつけています。
朝でしょうか?夕でしょうか?
ハルニレの木にかかるように太陽が覗いています。
薄暗がりに遠く牧場のサイロが見えます。空気が澄み切っています。

吹雪です。ハルニレはもう葉を落してしまいました。
大きく写し出されたハルニレの耐える姿に、私たちは息をのみます。
そして心のどこかで「がんばれ!」と叫んでいます。


北海道の草原に立つ一本のハルニレの木の、季節の移り変わりの中での写真集です。
その季節の移り変わりは、光と影の奏でるシンフォニーのようであり、ドラマチックでもあります。

この写真集では、半分以上の写真が葉を落としたハルニレの姿で、最初と最後のページを除いて全てが見開きの構成です。
そしてこの中でハルニレが大きく葉を広げた写真は、たったの3枚しかありません。

とすれば、この写真集で伝わることは何だったのでしょうか?

それはハルニレの耐える姿だったと思います。

ハルニレは、寒さに耐え、風に耐え、そして孤独にも耐えていました。
私たちは、そのハルニレの晩秋から冬にかけての美しい姿に、いつの間にか孤高であることの美しさを重ね合わせていたのです。

この本の最後の写真の一枚は、1ページだけ額縁の切り抜きのように載っていましたが、この小さな1枚に著者(写真家)のハルニレへの思いの全てが凝縮されていました。


そこには、ハルニレをバックに、初夏の草原の賑やかさが写し出されています。
ハルニレは草原のわき役になりましたが、もう孤独ではなくなったのです。
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