モールス音響通信

明治の初めから100年間、わが国の通信インフラだったモールス音響通信(有線・無線)の記録

◆沖縄の電信事業のはじまり

2017-06-10 | 寄稿・戦時のモールス通信
◆沖縄の電信事業のはじまり

モールス通信のブログを始める前から、沖縄の第2次世界大戦前の通信事情はどのようなものだったのか、ぜひ知りたいことの一つでした。ブログを始めた一昨年、電電同友会沖縄地方本部にも照会してみましたが、戦前のことを知る人はいず、史料も会にはないとのことでした。このたび、「九州の電信電話百年史」を読み、明治時代の沖縄の電信のことが少し分かりましたので、ご紹介します。通信士の養成のことなども、知りたいことです。調べるうちに「沖縄の電信電話事業史」が発行されていることを知りましたので、そのうち読んでご紹介したい。
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本土・沖縄間の通信線の開設については、明治25年以来、沖縄県民から要望されていた。
そこで、軍用通信のかたわら公衆通信にも利用する目的で、鹿児島県大浜から奄美大島を経て、沖縄県沖縄島渡具知に至る約800キロメートルの海底電信線の敷設工事が行われ、明治29年(1896)8月13日に完成した。

使用された海底線は1心GP電信海底ケーブルで、英国から購入したものであり、海底線の敷設船は沖縄丸であった。

開通と同時に軍用通信に使用されたが、同年10月から公衆通信に供用することになり、明治29年10月、鹿児島、大浜、宮の浦、西表、名瀬、久慈、沖縄および首里に8通信所が設置された。これが沖縄の電信事業のはじまりである。

海底線陸揚地の読谷村渡具知から那覇までは、電信柱に電線を掛け、電信3回線、打合せ電話線1回線が張られ、那覇から首里(現在那覇市内)にのびていたと推定される。

『各通信所に配属すべき通信員は斬新の機械を使用し得る技術練習をなす要あるをもって、電信通信に従事せるもの14名を本部雇員に採用し、東京に集合して特別通信技術を練習せしむ。』(本項、「沖縄の電信電話事業史」により追加した。関東テレコムセンター「学びの園100年史」によれば当時の伝習生の訓練期間は6ヵ月間、東京の養成所は日本橋区南詰にあった東京郵便電信局為替係2階にあった。29/6/13日増田)

なお、通信所助手には、沖縄各所から13名を採用し、明治29年3月から同年10月1日まで訓練し、各通信所に配置している。
(当時の通信技術者訓練は、伝修生として大局の郵便電信局で行われていたようなので、沖縄の訓練生は、船便で行けた鹿児島郵便電信局(山下町3)まで出向き、訓練を受けたものと思われる(増田)。)


それまで、電報の発信は、船便で鹿児島に運び、鹿児島から打電していた。受信は逆に鹿児島で受信して沖縄に船便を利用して配達された。県民40万人の不便さは想像を絶するもので、電信線の開通により文明の利器に浴することができた。

現在、海底線陸揚地(読谷村渡具知)には、大戦後電気通信関係有志一同による「沖縄海底線電信線記念碑」が建てられており、次のような碑文が刻されている。

<<碑文>>

 明治二十九年(一八九六年)鹿児島・沖縄間に海底電信線が敷設された。
 ここ、読谷村渡具知の浜に陸揚げされ、那覇とは架空電信線で結ばれた。
 これが、沖縄における電信線のはじまりである。
 日本の電信創設より二十七年遅れて、沖縄と県外と直接に電報を送受することができ、孤島苦を抱える沖縄に新しい文化をもたらした。
 更に、明治三十年には石垣島経由の台湾線、明治三十八年には南洋ヤップ島線の海底電信線がこの浜に陸揚げされ、海外通信にも大きく 貢献した。
 以来、島内の通信線も整備されたが、残念ながら、去る第二次世界大戦で、これらの海底電信施設は、破壊された。
 私達は、海底電信線が、半世紀の間沖縄の政治、経済、文化の発展に果した役割と歴史の担い手であったことを高揚し、ここを沖縄海底電信線のはじまりの土地として記念碑を建立するものである。

 昭和六十三年六月 電気通信関係有志一同

<参考)「沖縄海底線電信線記念碑」は、NETで検索すると、ブログ「電話局の写真館」、「ぷらぷら電話局めぐり」などに写真入りで紹介されている。記念碑の背景に見える沖縄の風景と一緒に遠い過去の電信に想いを馳せてください。



<付記>沖縄の電話(電話交換)のはじまりは、明治43年(1910)2月11日である。
わが国の電話の創業は、明治23年(1890)12月、東京・横浜に電話交換局が設置されたときで、九州の電話は長崎で明治32年4月1日からはじまった。宮崎が明治40年、大分が明治42年に開始しているから、沖縄の電話利用は電信にくらべると比較的早い時期といえそうである。(増田)

◆出典 九州の電信電話百年史 昭和46.10.23発行 
 (編者 電電公社 九州電気通信局 発行所財団法人電気通信共済会九州支部)
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