奇跡への絆

図師ひろき

雑感247

2012年02月12日 23時19分59秒 | Weblog


 “社会的入院”という言葉をご存知でしょうか?

 主に精神科病院で使われている専門用語ですが、積極的な医療行為の必要がなく、家族や地域の受け皿が整えば退院可能な状況にありながら、入院継続を余儀なくされている入院形態です。

 私が精神保健福祉士として現場で働いている時にも、この社会的入院の解消に多くの労力を割いていました。

 国は全国に7万人以上いる社会的入院患者の退院促進のため、ノーマライゼーション7ヵ年戦略をはじめ、数々の計画を打ち出してはいますが、地域に根付くことはなく、机上の空論に留まっています。

 そしてさらに現在、医療の現場でクローズアップされているのが、精神化病院における認知症の方々の長期入院です。

 1999年に約3万7000人の認知症入院患者が、2008年には約5万2000人に、2026年には9万人と突破するという試算もあります。

 精神障がい者同様、認知症の長期入院者のうち居住先の支援が整えば近い将来退院が可能な方々は、なんと6割以上いらっしゃいます。

 こうした状況を変えようと、厚生労働省は退院促進に取り組むことを決め、原則2ヶ月以内の退院を目指し、介護側が認知症に対応できる力を養成し、訪問診療・看護を拡充させていく方針とのこと・・・

 私には、またも絵に描いた餅作戦が始まったかのようにも映ります。

 認知症の退院促進が進むことは理想的ではありますが、病院経営の観点からとらえれば空きベッドが増えることにもなり、訪問診療・看護に診療報酬の加算を大きくする必要がありますし、何より専門職の人材確保が全然追いついていかないでしょう。

 さらに診療報酬を引き上げるということは、保険料に跳ね返ってきますので国民の理解を得ていくためには、丁寧な説明が求められます。

 何より家族を含め介護側の認知症への対応する力を養成するといっても、今までそれができないが故に病院や施設へお願いしてきた経緯がある以上、認知症の理解と介護技術の習得にはかなりの時間と予算が伴うものと考えられます。

 あまり悲観的にはなりたくないのですが、認知症の方の退院促進は国が考えているほど簡単に進むものではなく、いかにも高齢者の医療費抑制が先にあり、つじつま合わせの放り出しにならないことを願うばかりです。

 まずはしっかりとした受け皿作りに、じっくりと時間と予算をかけて体制を整えて欲しいと考えます。




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キーワード
社会的入院 厚生労働省 精神障がい者 ノーマライゼーション 精神保健福祉士 机上の空論
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