ひろかずのブログ

加古川市・高砂市・播磨町・稲美町地域の歴史探訪。
かつて、「加印地域」と呼ばれ、一つの文化圏・経済圏であった。

山片蟠桃物語(7) 「思想」のめばえ

2016-12-07 08:02:55 | 山片蟠桃物語

      「思想」のめばえ

 丁稚奉公に入った蟠桃の毎日はつらかった。甘える親もない。

 暗いうちから店の拭き掃除や道路の水まき、たばこ盆の片づけをし、台所から声がかかれば使いに走らねばならない。

 店の仕事が終わると、夕方からは手習いと算盤の修業が待っていた。

 だが、主人の平右門は驚いた。播州の田舎からやってきた子どもが、いい年をしたまわりの手代よりよく字を知っているし、算盤も群を抜いてできた。

 『論語』を空で言えた。

 55歳の平右衛門は早くに嫡男を亡くし、いま次女しか、残っていなかった。

 いずれ、婿養子をと考えているのだが、升屋をしっかりと支えていくためには、できのいい番頭の存在がかせない。

 そこで平右衛門は、新しく丁稚に入ったばかりの蟠桃に目をつけた。

 平右衛門は、新入りの丁稚を懐徳堂(かいとくどう)で学ばせることにした。

 蟠桃の運は、ここから開けていった。(no3415)

 *『蟠桃の夢(木村剛久著)』(トランスビュー)より

  〈お知らせ〉

 http://hirokazu.webcrow.jp/kurakumatsuemon_blog.pdf

 上記のURLをクリックすると「工楽松右衛門と高田屋嘉兵衛」が通しでお読みいただけます。

 

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