言葉の散歩 【歌舞伎・能・クラシック等を巡って】

日本の伝統文化や歴史、音楽、また人生を彩る様々を話題に、ちょっとおしゃべりさせていただきます。

東京国立博物館の特別展「茶の湯」気ままな鑑賞記録  ・・・「白鷺」「破れ袋」「羽衣」「俊寛」

2017年05月07日 | 博物館・美術館など
東京国立博物館で開催されている特別展「茶の湯」に行ってきました。

茶道はちょっとかじっただけ、憧れつつも門の外から覗き見るばかりの私ですので、いくつかの心に残ったものについて、気ままに感想を書かせていただきます。


最近自分の中で、楽茶碗、特に黒楽への関心が高まっていました。
薄暗い茶室での黒い茶碗、主に手で感じ愛でるのであろうと想像し、興味を感じていたのです。
「けれども期せずして」と言うべきか、「当然の成り行きで」と言うべきなのかわかりませんが、展示を見て涙がこみ上げてくるほど感動したのが、赤楽の「白鷺」でした。

女性の手でも包み込むことができそうな小ささと、ほのかな色味がなんとも可愛らしい茶碗です。
形はすらりとして清楚な美しさ、「白鷺」という銘がぴったりだと思いました。
樂家初代の長次郎の、ごく初期の作品だそうです。


対照的に圧倒的な迫力で迫ってきたのが、伊賀焼の水差し「破れ袋(やぶれぶくろ)」でした。

口から半分位までは筒形にすとんと落ち、そこからポパイの頬のように膨らんでいて、しかもその膨らみの部分に、縦に横に深い亀裂が入っています。
作為的な場合もあるそうですが、「成形時の無理がたたったのであろうか」と矢部良明氏が述べておられる(※1)ように、意図せずに入ったものかもしれません。
肉厚な肌はぶつぶつとしており、耳も左右非対称、全体に歪みのある形、そこに「これでどうだ」と言っているかのような亀裂。

不完全なのに、その場にあるべくしてあるという不思議な調和感があり、心にぐっと迫ってきました。


能に関心を持っているからかもしれませんが、志野茶碗「羽衣」にもまた、強い興味を感じました。

胴から腰に行くにつれて膨らんでいるようにも見えるほど、どっしりした形です。
また高台が低く小さいので、広い底の全面が、畳に着いてしまいそうに思えます。

内側に描かれた曲線は、天女の舞の優しい飛行に感じられました。
けれども全体から受ける感じは、薄衣の軽やかさ、優雅さではなく、パッションと言えるような力強さで、桃山時代という語から受ける印象とぴったり重なる感じがしました。


「白鷺」と同じく長次郎の、肌にわずかな凹凸があるように見えた黒楽茶碗。
銘は、平家物語にも、また能・歌舞伎にもなっている「俊寛」です。
何故こう名付けられたのか、見ている時にはわからなかったのですが、帰宅してその謂れを知り、とても面白く感じました。
矢部良明氏の著書(※2)から引用させていただきます。

〈利休が、薩摩の門人の要望に応えて長次郎の茶碗を三碗送ったところ、この一碗がとどめ置かれて他の二碗が返され、銘が所望されたので、喜界ケ島に流罪となって一人残された俊寛僧都のエピソードにちなんで名付けたという。〉

私がもしこんな銘を思い付いたとしたら、ガッツポーズをしてしまいそうです。


多くの美しいもの、興味深いものに触れることができた、見応えのある展示でした。
国立近代美術館で開催されている「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」にも、できれば行きたいという気持ちになりつつ帰宅しました。



※1 淡交社『茶道具の世界11 水差 建水』矢部氏は責任編集として執筆されています。

※2 東京美術『すぐわかる 茶の湯の名品茶碗』 矢部良明著 



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