言葉の散歩 【歌舞伎・能・クラシック等を巡って】

日本の伝統芸能や音楽を中心に、感じたことを書かせていただきます。

テレビで二つの曲に再会しました   ・・・ 清元志寿太夫『三千歳』と石丸寛二『小さな空』

2017年08月05日 | 日記
テレビでの二つの曲の演奏に、とても満たされた気持ちになりました。

一つ目は、昭和20年代30年代に活躍した方を中心に、歌舞伎音楽を支えた名人を紹介する、7月28日の「にっぽんの芸能 新名人列伝」でのことです。
曲は、清元志寿太夫さんの語る『三千歳』。

 *邦楽の種類によって、例えば長唄は「唄」ですが、清元や常磐津では「浄瑠璃」となり、「語る」となります。

志寿太夫さんは、1898年4月生まれ。
1999年1月に100歳で亡くなるまで80年近い年月、その美声の語りで数々の歌舞伎の舞台を彩った、伝説的な方です。
1973年頃から歌舞伎への関心が高まっていった私にとって、見始めた時から、「清元と言えば志寿太夫さん」という存在でした。

亡くなって以降、現在活躍されている太夫さんの『三千歳』を聞く機会がありましたが、今回の番組で志寿太夫さんの浄瑠璃を聞いた時は、その時とは違う感銘がありました。
それはジグソーパズルでピースがぴったりはまった時のような、
「探していたのはこれなんです。」という気持ちでした。
人生の最初の方で聞いた志寿太夫さんの語りが、私にとっての「清元」なのだと、改めて感じました。

『三千歳』は、直次郎が、長く会えず病に臥せりがちになっていた恋人・三千歳のもとを訪ねる、けれども悪事が露見して追われる身である直次郎は、今すぐにも逃亡しなくてはならない、そんな二人の束の間の逢瀬を描いた曲です。

映像は平成元年の放送ですから、志寿太夫さんは90歳を過ぎています。
けれども衰えのない志寿太夫さんの「甲の声」(かんのこえ。高音)が、三千歳の涙を、言葉だけでなく声でも表現しているように感じられ、素晴らしい語りだと思いました。



もう一つは、7月30日「題名のない音楽会」での、武満徹さん作詞・作曲『小さな空』です。
合唱曲として、あるいは歌手のコンサート等でお聞きになり、ご存じの方もいらっしゃると思います。
私が初めて聞いたのも、あるテノール歌手のコンサートの、アンコール曲としてでした。
清らかで瑞々しい声、さりげない歌い方に、何か藤城清治さんの作品を思い出すような情景が浮かんできて、とても感動しました。

今回の番組では、つのだたかしさんのリュートと石丸幹二さんの歌でした。 
リュートのしみじみした音色、自然でぬくもりのある声、そしてやはりさりげない弾き方・歌い方に、今度は歌詞の中の主人公の気持ちが浮かび上がってくる感じがして、とてもとても感動しました。



 ※ この日の「題名の…」では、つのだたかしさんのリュートだけの演奏にも、大変魅力を感じました。
   8月6日(日)午後11時から、BS朝日で再放送があるようです。
   






   小さな空 (作詞・作曲 武満徹)

  青空みたら綿のような雲が
  悲しみをのせて飛んでいった
  いたずらが過ぎて叱られて泣いた
  こどもの頃を憶(おも)いだした

  夕空みたら教会の窓の
  ステンドグラスが眞赫(まっか)に燃えてた
  いたずらが過ぎて叱られて泣いた
  こどもの頃を憶いだした

  夜空をみたら小さな星が
  涙のように光っていた
  いたずらが過ぎて叱られて泣いた
  こどもの頃を憶いだした


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