言葉の散歩 【歌舞伎・能・クラシック等を巡って】

日本の伝統文化や歴史、音楽、また人生を彩る様々を話題に、ちょっとおしゃべりさせていただきます。

TVで見た舞妓さんの店出し ・・・BS『美の壺 京友禅』 と BSプレミアムカフェ『祇園・継承のとき』

2017年04月18日 | 歌舞伎など
京都の舞妓さんが、お披露目のためにお茶屋さんや舞の師匠のもとに挨拶に回ることを、「店出し」というそうです。
最近短い間に、二つの番組でその様子が映されたのですが、受けた印象が、それぞれでとても違ったことを面白く感じました。

一つは『美の壺 京友禅』です。

京友禅の様々な染めや金彩加工の技術、その作品である着物が紹介され、最後に舞妓さんの店出しの、紋付の装いが紹介されました。
黒地に、染め・絞(しぼ)り・金の刺繍で、貝桶と貝が描かれた着物に、西陣織のだらりの帯、可愛らしく美しい「まめ章さん」の姿です。
これは今年の二月のことだそうです。

「おめでとうさんどす。」
「綺麗やなあ。」
「頑張ってください。」
の声に送られて、男衆(おとこし)さんと何十軒ものお茶屋や舞の宗家の所を回ります。
二月半ばながら柔らかな陽のさす、良い天気です。
遠巻きにではありますが、大勢のカメラを持った人々が従っています。
男衆さんは、舞妓さんの若いお父さん位の年齢でしょうか。
薄い藍色の着物に縹(はなだ)色の羽織、明るい感じのいでたちです。
舞妓さんと男衆さんが談笑しながら歩いていく場面、まめ章さんの笑顔が印象的です。


もう一つの番組は『祇園・継承のとき~井上八千代から三千子へ』(初回放送2000年)です。

祇園の舞「井上流」の家元・四世井上八千代さん(放送時)から、孫の三千子さん(現在五世井上八千代)へ、家元と「八千代」の名が継承される際の、稽古と心の動きを追った、非常に興味深い作品です。
その中に登場する店出しも、季節は雪のちらつく頃です。
どんより曇った空、途中から小雨も降り始めました。
舞妓さんは、前と同じく黒地の着物、模様は枝垂桜でしょうか、ほかにもあでやかな花や橘、松等が描かれています。
『美の壺』よりも年配の男衆さんは、路考茶(ろこうちゃ。色の名前)の着物に鈍色(にびいろ)の羽織、全体的に少し茶色がかった灰色のような、渋い装いです。
使われている映像では、話すこともなく黙々と次の場所に向かっていきます。
井上流の稽古場の一室で、三千子さんが、八千代さんからの言葉を伝えます。
「行儀良くおいきやす。」
「初めが大事やさかい、行儀ようせなあきまへん。」

番組の中で、井上流の舞は、「御所風の上品な立ち居振る舞いと、白拍子の舞を合わせて生まれた」とあり、また「一点一画を疎かにしない」厳しい稽古が特徴と述べられていることから想像すると、単にお座敷で行儀よくしていなさい、というのではなく、舞の修行を真面目にこつこつとやっていきなさいという励ましにも感じます。
また舞妓、やがて芸妓という仕事人として、人の道にはずれることはせず真摯に生きていきなさいとも、受け取れる気がしました。

門から出てきた、ほっそりした美しい舞妓さんの、ちょっと手を伸ばしてかんざしを直す仕ぐさに、少し緊張がとけた気持ちが表れているように感じました。


それぞれの番組のテーマに応じて、同じ出来事でも、醸し出される空気は随分違って感じられました。
そして十代の娘さんの、晴れがましい日の華やいだ気持ちと、奥の深い特別な世界に一歩を踏み出す緊張感、この二つは、たぶん店出しのどの舞妓さんの心の中にも溢れているのだろうと、想像しました。

* 放送されたのは、プレミアムカフェが先でした。

* これは我が家の数少ない帯にあった、貝の刺繍です。着物や帯では、貝はこのように華やかに装飾して描くことが多いようです。
まめ章さんの着ていたものも、あでやかな彩がなされたり絞りが施されたりして、とても綺麗でした。

     



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2 コメント

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美の壺 (九州より)
2017-04-20 18:02:24
読者登録有難うございます。
「美の壺」や「イッピン」は時々見ます。
昔から職人の手仕事が好きでした。
ありがとうございます (ヒロ川 ユキ)
2017-04-20 22:11:32
こちらこそ有り難うございます。お写真、御文章、これからも楽しませていただきます。よろしくお願いいたします。

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