東京オリンピック前後に生まれて、戦争の痕跡を日常では目にしなくなっていた当時の小学生の夏休みと言えば・・東宝チャンピオン祭りゴジラの新作。ワクワクドキドキの怪獣対怪獣の娯楽作品シリーズに慣れ親しんだ小学生にはたまたまNHKで放映された白黒のゴジラ第1作は核兵器により造り出されたとんでもない恐怖として心の奥底に深く刷り込まれてしまった。
そして、何作ものゴジラシリーズがつくられたが、私が最後に映画館に足を運んだのは、キャッチコピー“ゴジラ死す”の1995年「ゴジラvsデストロイア」。
ゴジラ第一作を伏線にした展開で、最初のハリウッド版ゴジラが酷かっただけに、これで私のゴジラにも決着がついた、と大森一樹監督の頑張りに喝采した。3歳になった長女を始めて映画館に連れて行った作品として記憶に残る作品で記念にゴジラのミニュチュアを買って未だに歴代の愛車のお守りにしている。
その後のゴジラシリーズは心の琴線に触れることはなく、2014年に公開された新しいハリウッド版ゴジラだけは頑張って作っていたのでやるじゃない、ふむふむ、と観ていた。
そんな中、庵野秀明監督がEVAを放り出してシン・ゴジラを撮るという。
真・ゴジラ?
新・ゴジラ?
神・ゴジラ?
庵野監督は直前に「巨人兵東京に現る」というとんでもない特撮短編を撮っていたので、なんとなく、その構図の延長かな?と思ったら、いい歳して、公開心待ちリストに入ってしまった。
で、公開翌日の2016年7月30日。
いや~~、
ここまで期待を裏切らずに仕上げた庵野総監督に敬意。語ればネタバレ必至なので感想だけ。
前半は、今の日本の機能不全を揶揄した展開で、3・11から安保関連法案までの間で我々が目の当たりにした日本の現実が劇中劇のような展開で突きつけられる。
ゴジラ登場の最初の展開は東宝特撮シリーズへの敬意に溢れるもので、ニヤッとしてしまうが、ゴジラが再登場してからの展開は凄い!!!
底流に流れるのは第1作の真・ゴジラであり、映像は新・ゴジラであり、そして破壊の限りを尽くすゴジラはまさに神・ゴジラ、そんなつくりでしたね。続編は不要!