愉快的生活~上海~

2009年4月から始まった上海生活の中での新たな出会いや発見、中国語の勉強法など。

風に立つライオン

2015-01-16 17:17:41 | 読書
まっさんこと、さだまさし氏の名曲の一つに、「風に立つライオン」という歌があります。
さだまさし氏の曲の世界そのものの、物語仕立てのこの曲。
アフリカで巡回医療に携わる青年医師が、日本に残したかつての恋人に宛てた手紙が曲の枠組みとなっています。
とても穏やかな歌詞でありながら、アフリカにいる自分の目から見た豊かな現代の日本人を憂う内容を強く伝えるメッセージソングになっています。

そして、この曲に惚れ込んだ、俳優の大沢たかおさんからの強く熱いリクエストでようやく書き上げられたのが、小説版「風に立つライオン」です。
この3月には主演が大沢たかおさんのキャストで映画が公開されます
もういまから、楽しみで、楽しみで・・・

戦禍のアフリカで犠牲になる人々を過酷な医療環境の中で治療にあたる医師と、命を助けられた戦争孤児との人間のつながりを軸にして描かれる「心のバトン」。
そして、そのバトンはこの豊かな日本で起きた東日本大震災の被災地へと引き継がれる・・・。

「生きるとは?」を熱く語り、自分は何ができるのか?と深く問いかけるこの一冊。
最後は涙なしでは読めません。

一人でも多くの人に読んでほしい一冊です


旅する力 ~深夜特急ノート~

2014-01-27 22:03:04 | 読書
20代のころ、沢木耕太郎氏の「深夜特急」を読んだ。
沢木氏のような冒険心も独立心を持っていない私は、香港から始まりユーラシア大陸まで続く、行き当たりばったり(に、私には思えた)旅の物語を
こんな旅よくするなあ~とハラハラしながらも、ある種憧れのような気持ちで読んでいたことを思い出す。
本著は、その「深夜特急」の総まとめのような本です

私が大学生のころは、バックパッカー大全盛期
卒業旅行シーズンともなると、海外志向の強かったクラスメートの何人もが海外にバックパックを背負って散って行ったものです。
でも、彼らの旅のバイブルは、そろいもそろって「地球の歩き方」
いくら世界が広いといっても、アメリカのフロリダでばったり同級生と会ったりした話を聞いたもんです。
「旅の先輩」が地球の歩き方に投稿した情報や、宿のコメント、移動手段などをなぞって旅をしているんだから、ばったり会ってもおかしくないわね

かくいう私自身、女友達とバックパッカーを気取って出かけたヨーロッパの旅の途中、ウィーンのトラム(路面電車)で同級生と乗り合わせてびっくり。
移動手段もバイブルに沿ってるんだから、ありえるね。全然、冒険でもなんでもなかったんだね。

初めて、その手の海外旅行をした私は、おっかなびっくり。
その旅のほとんどは、留学経験があり英語が堪能な同級生にくっついて行ったようなもの
それでも、異国の地で、旅の予算とにらめっこしながら、その日の宿を探したり、晩ご飯のお店を探したり、と初めての体験に興奮していたっけ。
初めはおっかなびっくり、ドキドキの連続だったなあ。
イタリアで両替したイタリアリラが終盤には足りなくなって、晩ご飯がパンとチーズとオレンジだけだったり。
ブラッドオレンジがあまりに美味しくて、ひもじいディナーのはずがすごく楽しかったな~

旅の終盤、3週間目のころに行ったオーストリアのウィーンでは、ものすごく寒くって、観光どころではなかったのを覚えている。
ちょうど私の誕生日だったあの日、一緒に旅をしていたケイコが私をカフェに誘ってくれて。
一緒にウィーン名物「ザッハトルテ」を食べたんだ。
それで、「お誕生日おめでとう」ってお祝いをしてくれてご馳走してくれたのよね
きっと、もうオーストリアでの残金も少なくなってきていたのに、その分のお金を余計に取っておいてくれたんだなあ
あんなに美味しかったザッハトルテは、これまでもないし、これからもないだろうな

と、自分の卒業旅行を、ホワンホワンと思い出してみました

沢木氏は、「旅」とは自分が作るものだという。
入念にプランされたツアー旅行は、無駄も失敗もないかわりに、あとに残る余韻のようなものがないと、確かに思う。
行って失敗だったなー、とか偶然いったところが意外に素敵だったりすると、あとあとまでじわじわ覚えてるのが旅の記憶ってものなんだろう。

また、沢木氏は「旅は自分の力不足を教えてくれる」ともいう。
これには、ワタシ、激しく同意です。
それは、その土地の言葉だけではなく、歴史やその土地の人々について、その土地に行ったからこそ肌で感じる自分の知識の無さ。
きっと、日本の国にずっと居たならば、自分が知らないということを知らずに、また予期せぬことがおきる心配をせずとも、安穏と暮らして行けるだろう。
でも、知らない土地に行き、異文化に身をさらすことによって、自分が何者か、自分の力不足をいやでも知らされるのです。
これこそ、成長しようと思う原動力なんだなあ、とつくづく思います。

人生は旅のようなものだ、という。

きっと、私と夫がこの10年過ごした海外での生活も、2人でずっと旅していたようなものだ。
お互いを助け、お互いを必要とし、大げさかもしれないけれど、支え合って暮らして来たと思う。
今や、海外での暮らしにインターネットの情報はあるし、細々した情報には事欠かないけれども、
そういった些末な一片一片の情報に頼るのは、ほんの最初の時期だけ。
ある時点から、自分の足で歩き自分の目で確かめ、地元の人とコミュニケーションをし、トライ&エラーを繰り返しながら、
自分のその街での立ち位置を確立して行く。

もうすぐ2人の「海外旅行」も終わりです。
これからは、旅の第3章ってところでしょうか

まずは「深夜特急」全6巻を読んでから、本著を読まれたし



旅する力 -深夜特急ノート- (新潮文庫) 沢木耕太郎著






Stay Hungry, stay Foolish

2014-01-03 10:37:49 | 読書
2005年、アップルの創設者・スティーブジョブズ氏がスタンフォード大学の卒業式でスピーチをしました。
このスピーチは、自らの生い立ちや闘病生活を織り交ぜながら、彼の人生観を余すところなく語り、広く感動を集めました。
聞けば聞くほど、含蓄のあるこのスピーチ。
なるほどな~、と毎回思ってしまいます。

スピーチは3つの話で構成されています。

1つめは、connecting the dots, 「点と点をつなげること」について。

スティーブは、自身の生い立ちから、養父母の経済的負担に遠慮をして大学を中退を決断をしたあとに、たまたま興味本位で聴講したカリグラフィーの講義がその後のアップルコンピューターの発展につながった話を彼の体験事例としてあげたうえで、以下のように締めくくっています。
「you can't connect the dots looking forward, you can only connect them lookng backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something - your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.
;将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです」

人生の中で起きること(点)は、あとから何らのこと(点)とつながっているはず。だから、その時に出会ったこと、与えられたチャンスに対してベストを尽くせ。
と、これは私の解釈

2つ目は、love and loss, 「愛と敗北」について。

アップルの創業とその後の発展、そして、自分の作った会社からクビにされ茫然自失の時期。その後、Nextの創業とピクサーの立ち上げ。ピクサーはその後「トイストーリー」を作りアニメの会社で世界で最も成功した会社となっています。さらに、アップルがNextを買収したことで、スティーブはアップルに舞い戻ることができたのです。
最悪の事態になっても、彼は諦めずに前進し続けた。だからこそ、その後大きな成功をおさめたのでしょう。

Sometimes life hits you in the head with a brick. Don't lose faith. I convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did. You've got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers. your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. If you haven't found it yet, keep looking. Don't settle. As with all matters of the heart, you'll know when you find it. And, like any great relationship , it just gets better and better as the years roll on. So keep looking until you find it. Don't settle.

「最悪のできごとに見舞われても、信念を失わないこと。自分の仕事を愛してやまなかったからこそ、前進し続けられたのです。皆さんも大好きなことを見つけてください。仕事でも恋愛でも同じです。仕事は人生の一大事です。やりがいを感じることができるただ一つの方法は、すばらしい仕事だと心底思えることをやることです。そして偉大なことをやり抜くただ一つの道は、仕事を愛することでしょう。好きなことがまだ見つからないなら、探し続けてください。決して立ち止まってはいけない。本当にやりたいことが見つかった時には、不思議と自分でもすぐに分かるはずです。すばらしい恋愛と同じように、時間がたつごとによくなっていくものです。だから、探し続けてください。絶対に、立ち尽くしてはいけません。」

3つ目は、death、「死」について。

このスピーチの前の年、スティーブはすい臓癌だと診断されています。しかも、かなり進行が進んだレベルのすい臓癌で、この時点で余命は半年と宣告されます。
その後、幸いにも手術は成功しましたが、2011年の10月に56歳の若さでこの世を去りました。
癌を宣告され、「死」を意識した彼は、「死」をこのように解釈しています。
「 Death is the destination we all share. No one has ever escape it. And that is as it should be, because Death is very likely the single best invention of Life. It is Life's change agent. It clears out the old to make way for the new.  ;死は我々共通の行き先であり、誰も避けることはできません。そして、死はたぶん、生命の最高の発明です。それは生物を進化させる担い手。古いものを取り去り、新しいものを生み出す。」

合理的でシンプルを追求した、とってもスティーブらしい解釈だと思いませんか。

そして、締めくくりには、こんな言葉が。

「Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma - which is living with results of the people's thinking. Don't let the noise of other's opinions drown out your own inner voice. And most impotent, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondly. ; あなた方の時間は限られています。だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマにとらわれてはいけない。それは他人の考えに従って生きることと同じです。他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです。」

スピーチの最後には、彼が若い頃に出会い、その後の彼の人生にも大きな影響を与えた本「The Whole Earth Catalog」の紹介と、その本の著者が最終出版版の別れの言葉として記した言葉が、印象的に描かれています。

" Stay hungry. Stay foolish" It was their farewell messages as they signed off. Stay Hungry. Stay foolish. And I have always wished that for myself. And now, as you graduate to begin anew, I wish that for you. Stay Hungry. Stay Foolish.

「ハングリーなままであれ。愚かなままであれ」と書いてありました。筆者の別れの挨拶でした。ハングリーであれ。愚か者であれ。私自身、いつもそうありたいと思っています。そして今、卒業して新たな人生を踏み出すあなた方にもそうあってほしい。ハングリーであれ。愚か者であれ。」

新年の始まりに、この名スピーチを読み直して今年も頑張ろう!と気持ちが引き締まりました





日々是好日

2013-11-04 09:06:21 | 読書
「過去に惹かれるなかれ、未来に期待するなかれ」

ブッダは、この言葉を以下のように解釈してるといいます。

過去は過ぎ去ったものであり、もう存在しない。
未来はまだ現れていないのだからわからない。
過去の栄光を追ったり、失敗を悔いても意味がない。
未来に心配しても意味がないし、何かを願っても期待どおりにはならない。
過去や未来に囚われず、いま何が起こっているかを正しく観察し、動じることなく、
怠らず、いまこの瞬間に行うべきことを実践しなさい。
そうすれば心を煩わされること無く、解放された心で生きていられます。

これが「日々是好日」。

現代に生きる私たちは、毎日の生き方において、安易に「安心感」に陥りがち。
刻一刻と変化を続けている世の中なのだから、私たちはもっと注意深く生きなければならない。
今日も精一杯頑張れただろうか、何か問題は生まれてないかと十分に注意を払う必要がある。
人は毎日死ぬ瞬間まで努力し続けなければならない。

このことに気づかずに長年、毎日をダラダラと生きていると、小さな「ゴミ」が積み重なり、気づいたときには取り返しのつかない状態になっているのだ。
すべては、「無常」であり、あらゆるものは変わるのだと知れば、人は、慢心せずに毎日を大切に生きなければならないと気づく。

「いま、ここ」に集中し、自分の力で「今日は良い日でした」と言えるような生き方をしなさい。
私たちは「いま」の瞬間に生きている。
常に、いまやるべきことに一生懸命に取り組めば、焦りは生まれない。
その小さなユニットを繋げることを人生とすれば良い。


ふと、手に取った2年前の雑誌に掲載されていた、アルボムッレ・スマナサーラ氏というスリランカのお坊さんの教えでした。

深い、されど、シンプル。
そう、シンプルって深いのですね

エスプリ思考

2013-07-23 21:40:48 | 読書
「エスプリ思考 ~エルメス本社副社長、斎藤峰明が語る~」を読みました
エルメスの本社・社長を日本人が務めているいるというのを、本書で初めて知りました。

「エルメス」。これは誰もが疑うことのない超高級ブランドで、女性なら一度ならずともあのバーキンやケリーバッグに憧れを持ったことがあると思います。
私には、他の高級ブランドといわれるブランドとは、一線を画したよそ行きのイメージがあるなあ。

この1冊を読むと、ただの「高級ブランド」という言葉では一括りにできないような気持ちになります。そのエルメスというブランド自体の
「覚悟」の詰まった確固たる信念が伝わってきて、読後は、ぜひそのエルメス精神の詰まった製品をこの手に取って、自分の大切な愛用品の一つにしたいと思いました

エルメス社は創業1837年。(ちなみに日本は江戸時代の後期で、この31年後にようやく明治維新。)
馬具メーカーとして創業したエルメス社は、その後、その時代にマッチした商品を開発し世に送り出してきた。
多くのメーカーが産業革命による機械化の恩恵を受け、均質の製品を大量生産をして世に行き渡らせようとしたのに対して、エルメスは一貫して、
職人の手による「もの作り」にこだわり続けてきた。

そして、21世紀の今もその姿勢は変わらない。

本文で何度も出てくるが、エルメス社は「利益ありき」ではなく、哲学・理念がまずあって、結果利益がついてきて、次のもの作りに生かすというサイクルの上に成り立っているという。
そんなの理想主義だと揶揄されそうなくらいに、まっすぐなポリシーです。
でもエルメス社はそのポリシーを曲げることなく、定量生産の中で質を追求し続け、ファミリービジネスをこれまで継続・発展させてきた。

また、本書では5代目社長を務めたデュマ氏の「謙虚」さ溢れる人間性にも触れている。
こんな高級ブランドの5代目の彼なのに、生涯その謙虚さを貫いたという。「謙虚」さを大切にする背景には謙虚じゃないと感動できない、という思いがあったそうだ。
つまり、自分をなんでも入る器のようにしておけば、素晴らしいもので充たせる。器に余裕があれば、いつも感動し、豊かさや喜びを味わえる。
本当に、人間、謙虚じゃないといろんなものを見失ってしまいそうですね。

この本は、中盤では日本人副社長・斎藤氏のことを中心に描かれていますが、前半・後半は、エルメス社の「エスプリ思考」が存分に描かれています。
会社組織とは、「生業(なりわい)」とは?といった視点からも、とても興味深く、エルメス社のまっとうなもの作りに懸ける覚悟がビシビシ伝わってきます。
エルメス製品に興味の無い人も、この本を読めば、エルメスファンになること必至?
おすすめです



「エスプリ思考 ~エルメス本社副社長、斎藤峰明が語る~」新潮社

建築家、走る

2013-05-18 21:40:42 | 読書


隈研吾著 新潮社



この本は、建築家・隈研吾氏の「建築家」という職業と「建築」に対する自身の思想や、クライアントとの熱苦しいまでに向き合う情熱的な仕事っぷリが、飾ることなく率直に語られています。

隈研吾氏といえば、この4月に新しくなった歌舞伎座の設計や、北京・万里の長城近くの「竹の家」をされたことで有名な建築家ですよね。

バブル期の箱モノブームによる建築ブームの最中、その波にのまれるように仕事は多忙を極め、その波が過ぎ去ったバブル後の不況の10年間、バブル期に設計した建築をめぐる世間の冷たい評価によって、まったく「中央」からはお声がかからなくなったという。その間、日本各地の地方都市に目を向けて仕事をしていたんだとか。氏いわく、この「苦悩の時代」こそが、自分の建築家としての新たな基盤作りができた大切な期間だったそうです。

また、この本は「建築」を通して、世界の国・民族・文化を語り、世界経済の潮流に翻弄される建築家の世界だったり、各国各民族の建築に対するとらえ方がとても分かり易く語られています。
隈研吾氏は、日本にまったく留まることなく、むしろ海外の方が彼の本来の「ホーム」のように生き生きと仕事をされてるように感じます。

建築家、という人種は普通の人からしたら、あんまり縁のない人たちだけれど、この本を通じて、建築家という人たちがどんな人たちなのか、建築家の仕事とはどんなものなのかを、その温度が伝わってくるように感じることができました。
といっても、図面の上の設計図だけで仕事をするのではなく、そのクライアントとの信頼関係構築から、そのクライアントの本当に望んでいるものを掘り下げて追求しまくる、こんなド真面目な建築家ばかりではないと思いますが。

建築家という仕事に関わらず、他の仕事にも通ずるヒントがいっぱいの一冊だと思います。
この本の根底に流れているエッセンスは、お客様・仲間との絶対的な信頼関係だということだと感じました。

「何かが生まれるプロセスを、真剣な思いの人たちと共有する楽しみの方が、結果の完成度よりはるかに上である。しかし、それは表裏一体で、プロセスが楽しい方が結局完成度も高くなる」と氏は書いています。本当に、その通りですよね。

地に足をつけて、その職業に向き合う姿は、とても格好良いものです

おススメの本です


海賊とよばれた男

2013-03-16 20:32:42 | 読書
昨年に読んだ本の中で、一番心が熱くなった一冊です




日本という国の国益のために、ここまで身を投げ出して事業を興した人がいるのか、と読んでいて何度も心が熱くなりました。
何度苦境に立たされても、次の一手を必死で考え抜き、自らの才覚で時代を切り拓いてゆく主人公・国岡鐵造の姿は、呑気にぬるま湯に浸かりきっている私にはガツ―ンと一発食らったぐらいの刺激がありました。

主人公「国岡鐵造」とは、出光石油の創業者である「出光 佐三(いでみつ さぞう:1885年8月22日 – 1981年3月7日)」。石油メジャーの支配を受けない日本を代表する石油会社を作り上げた大立者の伝記ともいえるノンフィクション小説です。

戦後、商売のタネといえる石油もなくなり、会社の資産が底を尽いても、一人の社員もリストラすることなく、自分の資産を売り払い、借金を重ねても、社員を守り抜くその姿に事業を興す人の本来あるべき気概を感じました。

どんなに国に裏切られようとも、自分の生まれ育った国に尽くす姿。
国のために働くとは、どういうことかを、今の私たちに教えてくれる一冊だとも思います。

海外で生活し始めてからというものの、夫婦そろって「愛国者」。
日本人だから日本を愛するのは当然のことですが。結構、海外に住んでる日本人って、海外に出て「愛国心」に目覚める人って多いようです。
この本は、まさしくそんな「愛国心」溢れる人にはうってつけです


Sara's Key

2013-03-07 23:50:03 | 読書
そういえば、ブログのカテゴリーに「読書」というのがあったのを思い出したので、
ぼちぼちと書いていこうと思います

邦題名「サラの鍵」という一冊を読み終えました。



舞台は、1942年第2次世界大戦のナチス占領下のパリ。ナチスの指示によってフランス警察が実施したパリ在住ユダヤ人一斉検挙事件。そのほとんどがその後アウシュヴィッツに送られ帰らぬことになった。このユダヤ人迫害事件に巻き込まれた少女サラの悲劇の物語。

物語は、戦後60年後に生きるジャーナリスト・ジュリアがこの事件を調べるうちに明かされて行く事実と、サラとジュリアとの驚くべき接点を追う形で進みます。

読み始めたら止まらないほどの内容でした。

実際、この事件は90年代にシラク大統領が公に謝罪を表明するまで、多くのフランス人も知らなかった史実だそうです。

私たち日本人も同様に、教えられていない歴史がたくさんあることを、読後に感じました。
私が今、住んでいる中国もしかり。

歴史問題って、政治カードに利用されるために捻じ曲げられていくんですかね・・・。

是非読んでもらいたい一冊です。

目撃者

2009-01-29 17:14:16 | 読書


私の好きな作家の一人に近藤紘一さんという作家がいる。
1986年に45歳という若さで亡くなられた伝説的作家さんである。

新聞社の特派員として類まれなる東南アジアウォッチャーの一人に数えられ、彼の目による東南アジア地域の波乱万丈の歴史は、彼によって書き上げられた何冊かの本の中で、単なる史実としてではなく、ある輪郭をもって生き生きと綴られている。

彼の著作は、手に入る限り全て読んでいたのだが、一冊だけすでに絶版となり、諦めていた一冊がアマゾンで見つかったのだ
「目撃者」というタイトルのその本は、厚さ5センチはゆうにあろうかという堂々たる一冊。まだ手をつけてないのだが、読み応えがたっぷりありそうでとても楽しみなのだ。

この一冊は、一語一語かみ締めて大切によみたいので
週末にとっておこう。