日々の歌日記 ・・  硲 比呂介 (船坂圭之介)

一日四首を底限とし連日作成日記の如く記入していきます。未推敲ですから発表の段階で修飾します。これは原石故乞ご了解

九月二十三日(金)お詫び

2011-09-23 13:15:51 | その他
   お詫び

 去る十九日、墓参の帰り京都駅のホームで体調不全となり、歩行困難となった。子供達には大きな迷惑を掛けてしまったが、なんとか自宅へ帰り着いた。車椅子も初めての経験で、気が滅入ったまま数日をすごしたが、とても歌は出来そうもない心理状態。それに長時間机に向かうことは、全身の浮腫の程度を強くするので暫くは歌も出来そうにない。
 寂しいけど、人工透析をしながら、cpの作業をするのは実は無理だと思い知らされた所です。暫く休みます。
 体調が戻れば再開します。先ずはお詫び方々ご報告まで。
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九月八日(木)「氷原」九月号掲載歌

2011-09-08 19:49:18 | 日々の創作短歌
        蒼き思ひ出

  *夢のなか将棋指す掌の小さくてこれはわたしの掌にはあらざり

  *世は真夏 そらに蒼満ち太陽はおほきく円をかがやかせ居り

  *爛漫のはるながれ去り蒼かをる水無月のそら果てしなく高く

  *ふるさとに疎まれて在り北のそらどんと晴れたり水無月一日

  *契りたるあの過去の夜の茫として身めぐりの闇音も無く消ゆ

  *奪ふことつひに能はず汝がこころ今宵夜空にとほく去りゆく

  *縋りたき夜々でありたり向かふ一歩地獄か知らず極楽か 否

  *突風は耳斬るごとく冴え鳴りぬ 春の未練ののこりかぜなる
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九月七日(水)「ナイル九月号」掲載歌

2011-09-07 22:58:27 | 日々の創作短歌
     面影は迂し

  *夜浅き薄闇の中なつかしき声の痩せたり 杳い日の君

 *思ふらく杳き日のひとうるはしき乙女でありぬ 過去はまぼろし
 
  *夕暮れは確かに隠すかくすゆゑわたしは孤り涙こぼしぬ

  *石佛のほほゑみ冴ゆる夏の夜にスバル弱まりつつ月を浴ぶ

  *背に負ひてその重たさをひしひしと感じつつ越ゆひと世の旅を

  *夏立つ日母のほほゑみわが肩に触るるごとけり白きくちなし

  *その姿母に似るかも受像機のなかにほほゑむひとのなつかし

  *母の日の風さやかにてほの馨る白き小薔薇は母に似るかも

  *きはまりの無き生なるか八十路越えひたすら歩む先の無き径

  *語らひの多からずして今の在り悔い居りまたも迂きスバルに


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九月五日(月)懐妊

2011-09-05 12:06:09 | Weblog
      懐妊

  *じんじんと蝉のうるさし女ひとり痛みつつ生みし胎児なり吾は

  *汝が胎に芽生えしもののさらばへし姿知らずば生母は幸せ
     (胎=はら)            (生母=はは)       

  *懐妊とふ秘事めく謂ひを聞かされしあの夏の夜の闇柔らかし

  *かかづらふ事にあらねどその胎の如何に寂しきものと知りし夜
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九月四日(日)嘗ては医師

2011-09-04 14:45:09 | Weblog
      嘗ては医師


  *儀式めく聴診に知るなにもなし医とはかく悲しかる虚実や

  *相対きてさて狂れたるは汝か吾か鬱はただ黙殺したりその過去

  *鬱血のひとみ展ごりそを見やるまなこまなこに映す緑虹

  *メニエール症候群に傾ぎたる首ややにして聴くはヒグラシ
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九月二日(金)秋や黄昏

2011-09-02 14:04:11 | 日々の創作短歌
      秋や黄昏

  *立ち篭むる霧ぎりぎりと手も足も縛し居るごと朝や 秋なり

  *絶望といふべかりけり風寒くわが頭葉も樹も枯るる 秋

  *こよひ又墜ちゆく怠惰 身はすでに黙に飽きなほ黙にに執する

  *悔い、悔いとこころぞ騒ぐ黄昏の陽を呼び返す術あらなくに


  


  
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八月三十一日(水)秋の匂ひ

2011-08-31 14:19:07 | 日々の創作短歌
       秋の匂ひ

  *燦として驟雨過ぐる日約せざる些事を待ちつつ独り呆たり

  *避けがたく辿る軌跡よかなしみのなほ終局に杳き孤の騎旅

  *酔ひもせず見し浅きゆめ簡潔に棄てて惜しくもなき少年期

  *逢ふことの絶えてしなきに夜半ながら北の暗さを恨みつつ伏す
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八月二十九日(月)空は秋

2011-08-29 13:58:05 | 日々の創作短歌
      空は秋

*浅き夢見しのちの夜は久々に距離を措き座すセザンヌの模写

*生くる間の一瞬係りたるのみの吾と悠久のプレアデス 汝れ

*月球のほの浮く空は秋にして闇にかかはるわれは臥すのみ

*月光に領せられつつ前を往く影そはとほき亡母と識れ 秋
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八月二十八日(日)秋やは近し

2011-08-28 14:09:08 | 日々の創作短歌
        秋やは近し

  *眸に生れしあつき一滴いとしもよたまゆらを命あるごとく照る

  *雨後の道蛙の吾をみつめしに歩を乱したり恥ぢるものある

  *腹腔になほ未消化のまま赤き「愛」といふししむら澱みたり

  *追ひ来たる亡母の憶ひか死蝶の羽根透き透す風のそよ吹き

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八月二十六日(金)馨る黒髪

2011-08-26 15:55:05 | 日々の創作短歌
      馨る黒髪

  *今にして思ふ汝が黒髪を剪りしときなぜ一束を吾に残さじき
            (汝=いまし)

  *汝が髪の香に酔ひ痴れし杳き日のかの幸せを思ふひととき

  *決断をいまなほ識らず丈余なす黒髪を汝が剪りしかの日の

  *汝れよ何故髪を剪りしや驚きの眼前に散るかぐはしき香よ
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八月二十四日(水)晩夏寂々

2011-08-24 20:59:46 | 日々の創作短歌
       晩夏寂々

  *恋ひ歌も詠めぬ晩夏のさみしさに老いし体とおとろへし思ひ

  *ただ過ぐるのみにあらずと歳月は雲を日をまた月を措き去る

  *長かりし旅も終りの此処に来て泡沫のひと世ただになつかし
                     (泡沫=うたかた)

  *とほきより郊外電車の笛聞こゆ 晩夏たけなはの深夜十時に
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八月二十二日(月)逝きしひと

2011-08-22 11:17:42 | 日々の創作短歌
       逝きしひと

  *忘れ得ぬ汝が眸汝が髪黒々とまぶしく在りき過ぎしあの頃

  *身のめぐり蠢く死者の誰れ彼れとつひ話し込むあはれ 私

  *仄かなる移り香残し和箪笥の奥にあなたのほほゑみ浮かぶ

  *汝が流しし泪の辛さしみじみと今頃にして思ふ しばしば
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八月十九日(金)時よ去りゆけ

2011-08-19 13:00:47 | 日々の創作短歌
        時よ去りゆけ

  *やはらかに時よ去りゆけ 遅夏の雲は限りもなく鬱となる

  *ただひとり卓を整ふ味気なさやうやく今日も暮れてゆく嗚呼

  *こころゆくまで呑みたしや真盛りの夏にしあれば腎病めど吾

  *些細なること積み重ね此処に来しひと日ひと日を人生といふ
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八月十七日(水)影深き夏

2011-08-17 15:50:58 | 日々の創作短歌
      影深き夏
  
  *無意味とふ意味にこだはり疲れたる午後に嗅ぎ居り珈琲その意味

  *影深き夏を残して失せにけり もはや独りを細く生くのみ

  *夕雲はゆらぎつつ忘れ得ぬわれに白きししむら見せたがりたり

  *頭葉に淫しつつ口唇を離るる音色きはにさやかや
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八月十五日(月)大輪の菊

2011-08-15 13:06:04 | 日々の創作短歌
   大輪の菊

  *大輪の菊たわわなり 黄色は午後に微笑のごとく照射す

  *夕つかた月に吼えつつ去る影はたとへばわれの末か輪廻の

  *真蒼 秋 空ひと色の流離感 さあれ花一輪ほどの 愛惜

  *汝がかげに添ふ風説の覚束な夏しろじろと乾き切りたり
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