日々の歌日記 ・・  硲 比呂介 (船坂圭之介)

一日四首を底限とし連日作成日記の如く記入していきます。未推敲ですから発表の段階で修飾します。これは原石故乞ご了解

二月四日(氷原)二月号掲載歌  偲ぶは遙か

2012-02-04 20:34:39 | 日々の創作短歌
  偲ぶは遙か

  *鳴く牛のこゑのか弱さ 洗脳のさだめかなしも七月のあめ

  *腎病みてわが思ひ居り甘き水こころゆくまでせめて飲みたし

  *十六歳の高校生が真盛りの 二十六歳 頬のかがやく

  *その白き頬にひとすぢ十年の濃き思ひあり なみだひとすぢ

  *凛凛しさの増せる容貌かがやけりうつくしくあれ寺川綾子よ

  *下戸にして真の味はひ知らざればなにがなし夕 涙こぼるる

  *饐えゆくはトマト・わが脳 歳月は音も無くあゆみ逝きたり

  *寝覚むればまた浮かび来る眉ほそくせし亡妻のなつかしき貌 
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二月一日(水)ナイル二月号 歌の花束欄 掲載歌 空の拡ごりに

2012-02-01 11:30:09 | 日々の創作短歌
 空の拡ごりに

 **この空の拡ごりのはて輝かにわが這入りゆく死の門の見ゆ

*身巡りにいつか殖えゆく死者の影なつかしきかな諸々のひと

 *ただ過ぐるのみに非ずと歳月は雲を日をまた月を置き去る

 *やはらかに時よ去りゆけ早冬の空はかぎりも無く鬱となる

 *ただひとり卓を整ふ味気なさやうやく今日も暮れてゆく嗚呼

 *遠きより郊外電車の笛聞こゆ冬たけなはの深夜十時に

 *長かりし旅の終はりの此処に来て泡沫のひとただに懐かし
                      泡沫=うたかた)

*この顔は太宰治と感じつつ夢に闘ふ少年や われ

 
 *些細なること積み重ね此処に来しひと日ひと日を人生と謂ふ

 *こころゆく迄飲みたしや真盛りの冬にしあれば腎病めどわれ



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一月八日(日)幽か死の匂ひ

2012-01-07 18:31:43 | 日々の創作短歌
   幽か死の匂ひ

    *遅れがちに夜へ沈みゆきやがて消ゆかすかなる死は匂ひ残して

    *飴色にかすかに残る性欲の残滓のごとき冬の残り葉

    *傍らを通り過ぎ逝く歳月に遅れずゆくは辛し八十余

    *次々と毀れゆきたり歳月の機器まさにいま不要の身なり 
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一月七日(土)物言はぬ悲哀

2012-01-07 04:36:03 | 日々の創作短歌
             心象風景

    *黎明より遂に一語も発せざる夕陽が墜ちる闇がまた来る

    *プチトマト美味な一粒つやめきて赤く映えたり幸福の実が

    *贖罪の匂ひほのかに雨後の風いささか寒し 墓地の夕凪

    *あれこれを綾となし逝く黄昏はわが心象のおおいなる 蔭
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一月六日(金)「ナイル一月号」記載作品 左千夫忌の夜に

2012-01-05 22:07:00 | 日々の創作短歌


   *わが夢の色彩消えにけりこの頃はモノクロームの映画のごとく

   *昏き空をななめに剪りて大銀河永劫の世へ流れゆきたり

   *いよよ腎の可笑しなりぬ早朝の尿は乳糜の色にぞ染まる

   *螢惑の椅るとふ夜におづおづと伏す身は悲し何処までも孤独

   *空を覆ふ夕翳りたり汝が逝きし日を日を更めてしみじみと恋ふ

   *うすれゆく感傷のまま漬かり居る肌を刺す湯に昭和の香

   *わたくしの巡り何時しか崩れゆき滂沱たり雨 すなはち涙

   *斜交ひに跳べぬさだめぞこの駒は愚直に縦横に進むのみなり

   *背なを押す風熱きまま忙として佇ちつくすのみ今宵左千夫忌

   *すでにわが死は記されをり此の歳の槌はりに到り思ふ過去世を
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一月五日(木)氷原一月号掲載歌

2012-01-05 03:39:41 | 日々の創作短歌
           偲のぶは遙か

   *身巡りに蠢く死者の誰彼とつい話し込むあはれわたくし

   *仄かなる移り香残し和箪笥の奥より貴女はほほゑみ掛くる

   *歩数計わづかに千を超えしのみそして疲れぬああ老とは

   *汝が流しし涙の辛さしみじみと今頃にして思ふ しばしば

   *一日にわづか十CCの尿 水ぶくれせし脛の重たし

   *朝焼ける積乱雲の競ひ来るやうな夏の日かのあつさはや

   *バスタブに白き汚れの浮きて居りひと日の疲れそれか或いは

   *まぼろしの北への旅もままならず思ふあの日のピリカメノコを
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一月四日(水)行雲流水儚し仁

2012-01-04 07:50:55 | 日々の創作短歌


   *「釈天心」墓石に浮かぶ壮の日の病み惚けたる子規居士の貌

   *父逝きし齢に近し心奥にうつろなる風吹くはなにゆゑ

   *虚しさが空を覆ひぬ千々の花消えゆく後の季節は悲しき

   *月の在る空の悲しき風を呼び雪降らすがの冬ちかき夜々
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一月二日(月) ブログ再開に当たって聊かの挨拶

2012-01-02 07:20:28 | 日々の創作短歌
    年革まってすでに一昼夜、幸い小康を得てペンを執った。
  あまり強制しないようにして歌作を試みる。
  旧作で未完成の、作りはしたがブログに載せるのはどうかと思うような古い反古同然のメモからも
  拾い挙げ整理して載せてゆく。
   なんとかブランクを造らないようにブログを続けてゆく。

   遅ればせながら新年の賀を申し上げ、心細い再開の挨拶とします。 
   (毎日に拘らず出来る日は続けゆきたい思いです。


      追億

  *窓の外を足早に過ぐ影のあり冬と言ふ空しき季節よ

  *妻よ母よ声無き声の沁みとほる土新しき丘の墳墓よ

  *偶然の御八つとやせむ生揚げのやや柔らかき芋の天麩羅

  *おほぞらを昂く舞ひ飛ぶ大鴉何想ひしや急転直下
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十二月十九日(月)花それぞれ

2011-12-19 19:51:45 | 日々の創作短歌
   花それぞれ

  *逆光に蔭る一花の嫣然と冬を枯れゆく花魁草は


  *死びと花のうぜんかづら彼岸花こころ湿らす花や野に咲く


*曼殊沙華激しく泣きをり耳ふさぎたくなる程の甲高き紅

 
  *吾を呼ぶや薄明どきに見上ぐれば月は詮無き面して蔭る
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十二月十八日(日) 望郷歌

2011-12-18 07:01:13 | 日々の創作短歌
     望郷歌

 *暗々と夜は更けにけりわが前に伏せしまま寝ぬ仔犬愛しき

 *悲しみは音も無くまた来たりけり故里の朝露おほき野よ

 *茴香のほの白き香のするがごと今朝の早露に故里をを恋ふ

 *ゆふぐれの水に映りし星群れの仄かに淡し ひと想ひけり


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十二月十五日(木) 歳月の歩み

2011-12-15 19:53:28 | 日々の創作短歌
歳月の歩み

   
  *恋ひ唄も詠めぬ晩秋のさみしさに老いし体と衰へる思ひ

   *歳月のあゆみひとしく早まりて暮るる歳末ちかき宵空

  *今にして思ふ汝が長髪を斬りしとき何故一束を妻残さずや

  *汝が髪の香に酔ひ痴れしとほき日のかの倖せを思ふひと時
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十二月十四日(水) 季節は巡る

2011-12-14 10:51:31 | 日々の創作短歌
     季節は巡る

  *薄い硝子を磨いて待ちし人の居て遠からず春浮世はのどか

   *かわきゆく雲薄ら陽に笑みて居り湿度二百とかわきゆく雲

   *その記憶確かに在りぬ過ぐる日の紅き誘惑身に覚えなし

   *くだかけの数百頭を括りつつ老爺はなほ呼吸しつ居り
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十二月十二日(月)お久しぶり 漸く戻って来ました

2011-12-12 20:59:06 | 日々の創作短歌
体調不全で、体力にもやや自信が持てないが、様子見ながらボチボチ作歌を始めてゆこう。


           
近づくは死か

 *纏ひたる闇のいつしか消えゆきて空あかみつつひと日明けゆく

 *黎明よりつひに一語も発せざり 夕陽墜ちゆき闇ぞまた来る

 *つぎつぎと毀れゆきたり智の器まさに不要の身となりし吾か

 *またすこし進みたりしや老眼に悩まされ眼を窄めつつ 伏す
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十月八日(土)「氷原」十月号掲載歌 葉月に到れり

2011-10-08 14:07:54 | 日々の創作短歌
      葉月に到れり

  
* すこやかと言ふも愚かや腎を病む身に夏風の熱浴ぶること

  *もろもろの歌集・雑誌の拡ごりて二歩と歩めぬ陋屋あはれ

  *ふるさとを離れ棲みたるをちこちの過客なつかし終は松山
                        (終=つひ)

  *ひとの世の終に至れり此処に来て思ふことあり死とは如何

  *領ち合ふひとも少くなりゆけば夕あかねその色彩の確かさ
                      (色彩=いろ)


  *訪者のひとりとて無き夕暮れを過ごす術なしされど 寧日
   (訪者=まれびと)

  *ままははは死せる生母の影を追ひ終始理想の母を 努めき

  *生みの母は姿かよはく顕ちませりただ一葉のうつし絵の中

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十月七日(金)『ナイル十月号‘歌の花束欄‘』掲載歌

2011-10-07 20:14:30 | 日々の創作短歌
    遠き夏雲

  *生母に継母ふたりの母の希望なりし昭和初めの幼き吾は
     生母=はは・継母=はは)

  *たけなはの世なり夏なりさまざまを思ふ去りゆく汝をし恋ほしむ

  *むらぎもの心寄せ合ふひとは去ぬ遠き夏雲濃く空を占む

  *今にしてなほ亡き夫に椅る思ひ強く持つひと汝れのいとしき

  *夏の夜は月に如かずと思ふまでわが性も穏しく細りたり

  *これもまた愉悦のひとつ若き日の拙き歌を思ひ出づこと

  *むかしそは煌めける花さるがゆゑわが胸ぬちに昂らかに咲く

  *悲しみのひとしほ胸に沁み入りぬ明日をも知れぬ生命の重さ

  *賜りし静岡の茶のあの甘さ 夢と消ゆるや憎し セシウム

  *生乾きのままに白シャツ揺れて居り遠き雷鳴地を揺るるごと
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