“碧の軍団”Team Hiro-M. 現場主義ルポ

見に行った、聞きに行った事、たまたま目にした耳にしたモノ、筆者Hiro-M.なりに“広く・浅く”掘り下げるBLOGです。

平日移動は成功!?

2006年08月19日 10時04分04秒 | よせ!寄席!!Yose!!!

 土曜昼から平日夜にまた戻ってきて2回目の「島之内寄席」に行ってきた。
このリニューアルは多分、地域寄席の雄「田辺寄席」が月3回興行で日程がカブり、客層を互いに食いつぶす危険性があることから再び週末に組みなおしたと思われる。
※ちなみに「田辺」に使われてる見台&膝隠しは桂 三枝会長が“新生”祝いにプレゼントしたものだ。

 まずは、“上方落語界イチ、おど*2している噺家”桂 まめだ氏の『道具屋』
筆者が前回、彼の高座を見たのは桂 三金氏が主宰する『らくモニ。』のプロデュースする「お笑いゑびす座寄席」(サミー戎プラザ内「道頓堀極楽商店街」)であったが、そのときは落語でなく、皿回し南京玉簾で“開口一番”を務めていた。(そのとき書いたBlogはこちら
しかし、この芸風、師匠・文福師の高座でのにこやかさと明らかに180度違う、短気で怒りっぽい性格に萎縮して高座でもああなった…というのが専らの説だが、キャリアを重ねるにつれてこれが『大きな足かせ』になってくるのは間違いない。
兄弟子の茶がま氏が“元ヤン”(笑)、文鹿氏は“プロボクサーライセンス保持者”と『図太い神経』の持ち主なので、是非彼らを見習って欲しいな、とも考える。

 続いては、筆者1人目の“お目当て”、笑福亭 由瓶氏の『手水廻し』
毎年1月に行われる「新進落語家競演会」にノミネートされていることを考え、15分以内できっちりまとめた感じだった。
マクラはちょっと考えさせられる内容。由瓶氏、実はサウスポー小拍子を右手で使ったのではと先輩にクレームをつけられたという。
筆者も実は左利き(ペンは右手で使うが)で、普段、“かぜ(扇子)”は左手で扇ぐ。
体のバランスを崩したときにとっさに出るのも左手だ。そこをたまたま先輩に見られたのかもしれない。
桂 ざこば師のように“ウリ”にすることも出来るのだが、伝統を重んじると右でやらなければいけない場面もある。そこが不利になるのかも。

 3番手はそのサウスポー噺家ながら、右手で芸を仕込ませた代表・笑福亭 仁鶴師の一番下の弟子…といっても、もう20年選手である笑福亭 仁昇氏の『向う付け』
『無筆の手紙』などと並ぶ、読み書きが出来ない人が多かった時代の失敗を描いた噺だ。

 中トリ、桂 福團治師の『南瓜屋政談』。実は、昨年も福團治師は「島之内」の“中トリ”でこの噺を演じている。
筆者のようなリピーター(画像は昨年から行った記録が残されているスタンプカード)は「えっまたこの噺?」となってしまったと思う。
確かに「島之内」は寄席初心者にもいろんな一門が出演し、敷居の低い会だと考える。
そんな人達のことを考えると高座にかけるべき作品だと思いたいが、「情のある」福團治師の新たな一面も見たいと思う人には物足りなかったのでは…と感じたのも事実だ。
※念のため書いておきたいが、福團治師のこの噺と『しじみ売り』は是非“寄席ファン”を自認したい方は絶対聴いて欲しい噺であることには間違いないので誤解しないでいただきたい。

 中入りを挟んで2人目のお目当て、桂 小米朝氏の『稽古屋』。
流石に“芸術系ネタ”は強い人、日舞の型はサマになっている。(ちなみに氏の出囃子は有名な純邦楽の曲『元禄花見踊』だ)
しかし、お客のほとんどが知りたいのは師匠&実父・米朝師のケガの具合。
そこで『中川家の家庭の事情』(笑)をマクラで報告。パーキンソン症の実母は勿論、介護の人も、息子たち(“アキラ”さんがいる3兄弟だが「横山」ではない(爆))も、ただの「打ち身」と思っていたのが、骨がヒビだらけになっている状態なのを知り、驚愕したという。

 トリ、おなじみの『オクラホマ・ミキサー』の出囃子。筆者3人目のお目当て、笑福亭 仁智師だ。
来週、師が主宰する会「笑いのタニマチ」も見に行こう、と思っていたので、見る側としてこの高座が“叩き台”になった。
得意分野であるプロ野球中継ネタのマクラから入り、本題は『元太と兄貴(シリーズ1作目)』
筆者は最初、マクラから『スタディー・ベースボール』が来るのを予想したが、「ヤクザの兄貴と弟分…」というのを聞いて、じゃあ『元太と兄貴』(2つシリーズ作があるのを知っているので、どっちかな?と思ったが)と予測がついた。

 仁智師はこの他にも『老女A』『トクさんトメさん』などのすぐにパッと高座にかけられ、なおかつ、“鉄板”と言うほどでもないがコンスタントに爆笑の取れる「エース級」の新作・創作をいくつか持っている。
これは大きな強み。故に桂 雀々師の主宰するRG研鑽会に呼ばれたわけだが、この他にも創作落語の盟友、桂 三枝師や笑福亭 福笑師、桂 小春團治師と違うモノを持っている。
それは仁智師自身が“団塊の世代”だということ。故に同世代の喜怒哀楽を汲み取り、高座に反映することで支持を得られた。

 くしくも所属する吉本興業が大阪と東京で団塊世代向けの常打ちの劇場を作る計画があるという。
NGKが大阪観光の客向け、うめだ花月とBaseが噺家に冷たい編成と、ベテランから若手まで落語を演じる場が少ないので、これを機に仁智師の噺をマスメディアで取り上げて欲しいとも考える。


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