
今回お訪ねしたのは、白山市にある(株)六星の本社、お話を聞かせてくださったのは代表取締役社長の軽部英俊さんです。「代表取締役社長」となんだか堅苦しいのですが、実際にお会いする軽部社長は、地元青年団のリーダー(?)といった感じの若々しい方です。
←軽部英俊社長 (写真は同社のHPスタッフ紹介より)
私が軽部社長にお会いするのは初めてではありません。じつは先日のブログ(10/15、16)でご紹介した「北國エグゼクティブカレッジ」のおり、同じグループで隣におられたのが軽部社長だったのです。あとで六星さんのHPを拝見したのですが、「でっかい農家」「おすそ分け」という言葉が新鮮に感じられ、さっそくメールを差し上げました。すると軽部社長ご自身から「ぜひお立ち寄りください」とのお返事が・・・こうなるといつもの癖で、「よし、どんなところなのか行ってみよう!」となったわけです。
さて、白山市に入って慣れない道を走っていると、ぱっと目に付いたのが冒頭の写真にある看板。「コメ・コミュニケーション」・・・なんだかいい響きですね。駐車場に車を止めて辺りを見回すと、同社の精米場や加工場などの建物のほかにビニールハウスも並んでいて、いかにも農産地といった風景です。その一角にあるのが本社工場・販売所の建物。写真のようになかなかおしゃれなお店ですね。

お店には近所の奥さんたちが買い物に。外のベランダにはテーブルと椅子もあって、談笑しているおばあさんたちも・・・お店に入ってみると、新鮮な野菜やおいしそうなお餅、漬物といった加工品がいっぱい。そういえば、うちの娘に豆餅を買ってきてねと頼まれていたんでした。


そんな品定めをしているところにやってこられたのが軽部社長。そうそう、買い物をしに来たんじゃありませんでした。というわけで、さっそく社長にインタビューです。
平野:事業拡大のきっかけになったのは、どういうことですか。 軽部:米の生産だけでは農協に納めるだけで、利益といったものはあまり意識していなかったのですが、25年ほど前に将来のことも考え、自分たちで「売れる」商品作りを始めました。はじめにこの地方で冬場の保存食として作っていた「かきもち」や漬物を生産・販売してみたところ、これが当時の消費者の「ふるさと志向」や「なつかしさ志向」に合ったようで結構売れたんです。そうした加工品は通年やれることですし、原材料も自分たちが生産した農産物を利用できますので、結果として経営の安定につながりました。つまり「自分たちが考えて利益を得る」という成功体験をしたわけです。 平野:販路はどうやって開拓したのですか。 軽部:それまでにも米の販売ルートとしての固定顧客は持っていましたから、そのルートにのせて「今度こんな商品を作りましたがいかがでしょうか・・・」というPRができ、注文もいただけました。あとは口コミなんかでも広がってきたようです。 平野:農産物の加工品を考えたのは、どうしてですか。 軽部:まず、自分たちの作った農産物を活用できますので、原材料費が安く済むこと、また「かきもち」や「漬物」などは半分機械、半分手作業で作るものですから、設備投資が小さくてすむというメリットもありました。一方で、「安全志向」「健康志向」というように、世の中の流れが六星のスタイルにあってきたことも大きいと思います。 平野:世の中の流れの方が合ってきたのですか。 軽部:そうですね。うちが無理して時流に合わせてきたわけではなく、たまたま世の中の流れに合っていたということでしょうね。
軽部社長の言葉からは、無理して時流に合わせようとするのではないが、自分たちのやっていることの正しさを信じてやっていれば、やがて時流の方がそれに追いついてくる、という自信のようなものが感じられました。それが「経営理念」なのであって、六星さんのように、それがしっかりしている企業は伸びていけるのですね。
平野:今後の事業展開については、どのようにお考えですか。 軽部:加工食品の販売で伸びてきたのですが、いまでも六星は農産物を作ることが本業だと思っています。うちの農産物生産面積は北陸でも随一です。自分たちの農地のほかに、生産を請け負っている農地もたくさんあります。この地域は金沢市に比較的近いこともあって兼業農家も多いうえ、高齢化によって担い手が減少しているのです。 平野:これからも規模の拡大は続けていかれるのですか。 軽部:当社は時流に乗って拡大を続けてきましたが、現在の経済状況ではこれまでのような拡大を続けていくことは難しいでしょう。ですから量的拡大よりも、合理化によって経営体力を強化していく方向を考えています。しかし、当社にとって最大であり唯一の資源は農地です。耕作を任していただく農地をいつでも受け入れることのできる体制は作っていきたいですね。

平野:同業他社に対して、御社の持つ優位性とは何だと思われますか。 軽部:優位性というほどのものは取り立ててありませんが、強いて言えば、先駆者的に活動してきたことでしょうか。今では当たり前になっていることも、当社が始めたときは、結構目新しいことだったのです。ただ、最近は競合が多くなってきたので、単純な拡大路線は難しくなっています。その分、既存のお客様を重視し、関係性を強めていきたいと思っています。 平野:お客様との関係性を強化するために、どのような方策を取っておられますか。 軽部:うちのモットーである「コメ・コミュニケーション」という言葉の通り、米を中心にした農産物販売を通じて、お客様とのコミュニケーションを図っていくことです。たとえば同じ通信販売でも、商品力だけでは難しい。情報の発信が必要です。そのためにパンフレットやHP,広報誌などを通じて情報を発信し、消費者に親しみを持ってもらわなければなりません。 平野:「情報の発信」が重要なのですね。 軽部:情報としては良いことだけではなく、まずいことも隠さずに出すべきです。良いことだけじゃなく、まずいこともオープンにする。たとえば「今年の米のできは良くない。なぜかというと、・・・・・・だからです」といった具合ですね。そこから信頼性が生まれるわけです。その点、農業はまだまだ開かれていないと思います。もっと情報を出していって理解してもらえば、皆さんから応援してもらえるはずなのです。
そうですね。情報を発信するというのは良いことだけじゃなく、都合の悪いことも隠さずオープンにする姿勢が大切なのですね。そうしたコミュニケーションの積み重ねから、「信頼関係」がつくられていくのです。(株)六星の掲げる「コメ・コミュニケーション」・・・その意味が少しわかったような気がします。
それでは、次回は軽部社長に人材育成の極意(?)について伺ったお話をご紹介します。
【参考】(株)六星からの情報発信は同社のHPをぜひご覧ください。 ☆ http://www.rokusei.net/index.php
※実際のインタビューでは、(株)六星の歴史や農業に対する熱い思いも伺ったのですが、紙面の関係でずいぶん割愛させていただきました。もっと詳しくお知りになりたい方はコメントとしてお寄せください。できるかぎり、軽部社長の熱い思いをお伝えしたいと思います。










