トロイからの落人  Fugitives from Troy

トロイを脱出して7年。約400年後のローマ帝国発祥の杭を、テベレ河河口の地に打ち込んだ男がいた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1055

2017-06-16 08:16:36 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ギアスは、この時代のつたないチエック技法で空と海の状況をチエックした。
 空は雲のない晴天、海は無風の凪、潮はゆるい逆流れである、彼は5時間後の風の状態を、そして、想像できる海の状態を地理条件を加味して考えた。
 船を帆走させる、風が期待できない、漕走で行くと判断する。
 ギアスは、漕ぎかたの一人に質問してチエックする。
 『おう、テッパス、漕ぎの調子はどうだ?櫂操作の抵抗感はどんな具合だ?』
 『ギアス船長、それを俺に聞かれるのですか』
 『なんとなく船足のノリがよくない!』
 『潮の流れと進行方向の関係で漕ぎによる加速感がありません。漕ぎの抵抗感が出るように櫂操作のピッチを速くしなければ船はいい船速で進みません』
 『そうか。解った。櫂操作のピッチを速くしなければならんということか。走しなければ船速の維持が難しいということか』
 ギアスは、即座に対処指示を出す。
 『木板打ち!ピッチを速くするのだ!打ちを速くしろ!』
 彼は漕ぎかた一同に櫂操作対処の檄を発した。
 この状態で航走すると目標の停泊地のペレカノス着が日没直前のころであろうと予測した。
 ギアスは頃合いを見て、オキテス隊長をはじめスダヌス、テナクスと今日の航走について打ち合わせた。
 状況判断による予測、航走計画と漕走維持の交替計画、それらによる停泊予定地のペレカノス着が日没直前であろうと説明した。
 一同が了解する。
 ギアスは漕ぎかたの交替指示の実行をテナクスと打ち合わせる。
 『ギアス船長、解りました。漕ぎかたらの交替をうまく実行していきます』
 船が潮の流れを割る、西に向かって進む、進行方向右手に見るはクレタ島南岸の風景、左手に目にするのは、はるかの水平線。往き来する船は見当たらない。船舶の航行が少ない海域である。
 ギアスが航走に注意を怠らない、テムパキオの港の岸を離れて三刻(6時間)、昼過ぎになって、進行方向右手にレフカオリ山の峰が見えてくる。
 昨日、がブドス島の不逞の輩と海上交戦を展開した海域を通過する。ギアスは、今日の行程の6割くらいかと判断した。
 彼ら一行が乗っている船が西へ西へと海上を往く。あと半刻ぐらいで陽が海に没する頃合いとなる。
 船は無事に停泊地のペレカノスの浜に着いた。
 『オキテス隊長、停泊地ペレカノスの浜に到着しました。予定の頃合いです』
 オキテスに報告するギアス。
 『おう、着いたか。重畳!ギアス船長、ご苦労であった』
 彼ら一行は、ペレカノスの浜に停泊、宿営した。
ジャンル:
小説
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