『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  916

2016-11-21 07:13:50 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『戦闘艇の仕様諸元は、新艇に比べて説明すると理解しやすいと考えられるのでそのようにして説明してまいります。艇体の長さですが、漕ぎ座を20座から24座と予備に2座を儲けています。漕力を増やして早い航足を目指しています。艇体の構造も衝角構造を設けることにより、2割くらいから3割弱くらい重くなると考えています。そのようなわけで艇体も深い構造となり、吃水も少々深くなると予想しています』
 オキテスが口を開く。
 『パリヌルス、仕様諸元の説明が丁寧で解りやすい。戦闘艇は新艇に比べて使用目的が海上における戦闘ということで明らかになっている。想像される戦闘がこうであるからこのような船にしたと簡単でいいから説明してくれればありがたい。それを聞けば、このような手段、このような方法もあると提案することができる。と俺は考えるがどうであろう』
 『オキテス、お前の言いたいことは解る。それについては、このあとに説明する。まあ~、これは俺が考えた構想であって、決定した構造仕様ではない。聞くだけ聞いてくれればいい。付加施工の詳細については、まだ考えてはいない状況である。オキテス、そして、一同の皆さんも提案を遠慮なく言っていただきたい』
 『おう、解った。構想は遠謀をして深慮でやってくれている。お前の心情が充分に理解できる』
 『おう、オキテス、言ってくれるな、ありがとう』
 二人は、互いに微笑みを交わした。建造チームのトップに立つ二人のほほえましい雰囲気である。
 『では、深慮遠謀ではなく、遠謀深慮の構想について話します』
 パリヌルスは、息を整え姿勢を正した。
 『戦闘艇は、海上交戦時において、戦術戦略に敵方の船を破壊し、航行不能にする交戦目的の遂行に軍船の持っている構造の衝角構造を有していることです。この衝角構造の衝撃力を増大化し効果あらしめるために艇体を重くした構造としている。いや、建造した結果に重くなったともいえるところがあります。戦闘艇の運航航速を速めるために漕ぎ座の増加を24~26座に増やしています。また、航速が出やすいように艇体を少し狭めている、艇の幅を7キュビトとしていますが、走行の安定性上その幅が最適であるか否かについては全く不明です。艇の構造上、安定走行状態を得るために艇の重心を下方に下げる構造を施してはいますが不安材料の一つです。また使用する櫂の長さも運動半径を大きくするために1キュビトは長くしようと考えています。衝角の先端構造については金属で造るか、石構造とするか、後期関係上、思案中です。なお、図面には描いてはいませんが、防御楯構造の付加についても思考中です。理解いただけましたでしょうか』と言って、パリヌルスは一同と目を合わせた。
 『一件、言い忘れていました、櫂舵の件ですが、櫂舵は左右の両舷に設けます。大体のところですが、以上です』


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