トロイからの落人  Fugitives from Troy

トロイを脱出して7年。約400年後のローマ帝国発祥の杭を、テベレ河河口の地に打ち込んだ男がいた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  986

2017-03-13 08:43:23 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オキテスとの詳細の打ち合わせを終えたパリヌルスは、改めて作成しなおした新艇納入航海の日程を書き記した木板を携えてイリオネスの宿舎を訪ねた。
 『おう、パリッ!どうした?』
 『あっ!統領』
 アエネアスがいる、イリオネスと打ち合わせの最中であるらしい。
 『報告します。オキテスと新艇納入航海について、詳しい打ち合わせを終えました。これがその日程表です』
 パリヌルスは、持参した木板を誰に渡そうかと一瞬迷った。
 アエネアスが手を伸ばしてくる、迷いを吹っ切って、アエネアスに手渡した。
 『ほう、これは解りやすい!イリオネス、見てみろ』
 日程表がアエネアスの手からイリオネスに手渡される、見入るイリオネス、首を縦に振る、大きくうなずいた。
 『軍団長、オキテス隊長と新艇納入航海について詳しい打ち合わせを終えました』
 『そうか、それはご苦労』
 パリヌルスは打ち合わせ内容を報告する。
 『パリヌルス、委細了解。この業務を遂行するオキテスの大変を察する。パリヌルス、多面配慮、彼を支えてやってくれ』
 『解りました。このあとオロンテス隊長とも計画の詳細を打ち合わせます』
 『そうか、俺がやらねばならないことがあったら、言ってくれ』
 『ひとつ、あります。お願いできますか。この件の遂行にあたって、軍団長のほうからギアスに新艇納入航海に関する操船の命令を下命いただきたいことです』
 『承知した』
 用件を終えたパリヌルスは、軍団長の宿舎をあとにした。
 浜に戻ったパリヌルスは、海を見渡す、陽を仰ぎ見る、陽はまだ高みにあった。
 『オロンテスが返ってくるのには、まだ間があるな』
 彼はひとりごちて、浜に揚陸している三番軍船の点検に歩を運んだ。
 軍団の持ち船は、パリヌルスがエドレミドの船だまりで管理していたもので、使用しはじめて二年余りの年月しか経っていない船である。
 『おう、この具合なら危惧するところがない!上等だ。14日頃には海に出して点検整備の段取りでやる』
 彼は、三番船の状態を把握して浜に戻った。
 再び、海に目をやる、波を蹴立てるヘルメスの姿を目にする、艇上に客の姿をみとめる、スダヌスであった。
 ヘルメスが浜に着く、スダヌスのガラガラ声が耳に届く、海に飛びいる、パリヌルスに駆け寄る、肩を抱く、久しぶりの邂逅の挨拶である。
 『おう、パリヌルス殿、元気ですかな。俺もこの通り溌溂の元気だ』
 『おう、浜頭!元気が何より。会えてうれしい!』
 パリヌルスもスダヌスの肩をしっかり抱いて、彼の抱擁にこたえた。
 『いやいや、パリヌルス殿、新艇の商談の成立、そしての完売!おめでとう!やりましたな。ところで統領も軍団長も元気との由、何よりです。オロンテス殿から聞きましたよ新艇納入航海の事、今日はじっくりと話を聞きたいと飛んできた次第ですわ』
 『スダヌス浜頭、大歓迎です。いま、統領、軍団長を呼んできます』
ジャンル:
小説
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