トロイからの落人  Fugitives from Troy

トロイを脱出して7年。約400年後のローマ帝国発祥の杭を、テベレ河河口の地に打ち込んだ男がいた。

『トロイからの落人』  FUGITIOVES FROM TROY   第7章  築砦  992

2017-03-21 08:29:32 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 試作艇が帆張りを終える、帆走にうつる、風が艇を押す、波を蹴り割る、しぶきが飛ぶ。
 『おう、いいじゃないか』
 感嘆の声が上がる、まずギアスが驚いた、次いでオキテス、パリヌルスが驚く、三人が帆を見あげた。
 ドックスが帆張りした帆をじい~っと見つめている。
 帆がヘルメスの帆に比べて大きい、そのうえ、風ハラミ効果をよくするように縫製工作されている。帆は折からの西風をはらんで航走している。
 ギアスは、強いとはいえない風の強さで航走する艇の速度を体感で感じ取った。試作艇の航走に息をのむ、いい走りだ、帆の構造効果に目のうろこがはがれて落ちた。
 ギアスもパリヌルスもオキテスも口を閉じたままでいる。三人はドックスと目をあわせてうなずき合う。
 『お~お、工作した効果はあった』と帆張り効果に満足しているドックスの表情が読みとれた。
 艇上の者たちは終始無口で試作艇の試乗を終えた。
 パリヌルスは試作艇について、細かなチエックを終えている。
 オキテスは、最大許容積載量の人員を艇上にしての効果状況を測っていた。
 ドックスは、己の智慧を駆使して工作した試みの結果をチエックし、船としての構造効果、および、その相乗性をチエックしていた。
 彼らはヘルメス艇を思考基礎の物差しとして試作艇を評価していた。
 太陽がニューキドニアの浜を茜に染めて、今日一日終えようと海に身を沈めていく、浜に降り立った一行の陽に焼けた顔に映えている。
 アエネアスが一同に声をかけた。
 『おう、諸君!ご苦労。試作艇の試乗感、君らはどのように感じたかは、また話し合う機会を持とう。ヘルメス艇と比較しての俺の感想だが、乗艇していた人員の多さも関係があるが海浪に翻弄されにくい艇に仕上っている。いい感じの航走であったといえる。艇体としての深さ構造に関しては、外洋を航走するとき、あれでいいかを十分にチエックしてほしい。これが俺の試乗感だ。いろいろと考慮した構造、工作が見受けられる。建造にかかわった者たちの叡智をうかがい知ることができる、いい船に仕上っている。造艇関係者諸君に賛辞を贈ってやまない。一同!ご苦労であった』
 アエネアスを囲む一同から拍手が起きた。彼らは、アエネアスの試乗講評メッセージに好感を抱いた。
 パリヌルスとオキテスが二言三言ささやき合っている、パリヌルスがオロンテス二話しかける、オキテスがギアスに話しかけた。
ジャンル:
小説
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