トロイからの落人  Fugitives from Troy

トロイを脱出して7年。約400年後のローマ帝国発祥の杭を、テベレ河河口の地に打ち込んだ男がいた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1057

2017-06-20 08:07:17 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『オキテス隊長、出航します』
 『おうっ!』
 ギアスが大きく息を吸い込む。
 『出航!漕ぎかたはじめ!』
 漕ぎかたが櫂で海面をかく、凪ぎっている海面が泡立つ、船は凪いでいる海を割り始める、ギアスは船尾に移って船の引く航跡に見入った。
 ペレカノスの浜を出て半刻、船は北へと転進する、西岸に沿って北上する。
 船上において昼めし時を過ごす、東への方向転換地点を前にして、ギアスは、海上の波の状態を観察する、風の具合を思考力を駆使して読む。
 ギアスは深刻に考えている。『漕ぎかたらの疲労の度合いが濃い、漕ぎが昨日は朝から一日中、今日は朝から昼過ぎまでに至っている、西からくる風に、この船を押す力があるだろうか?』である。
 船は西岸に沿って北上している、後半のころに至っては、クレタ島の地勢状態の影響もあり、西からいい海風が来ている、『果たして東へ進むころにもこの風であるか?』である。
 彼は悩みまくった。
 東進への方向転換地点に到達する。ギアスは方向転換を指示する。
 船は右手に岬の突端を見ながら東へと進む、ギアスは風読みをする、帆張りを決断した。
 『帆を張れ!』
 『おうっ!』
 帆が張られる、軍船の大きな帆である。帆が風をはらみ始める。
 風はらみが考えていたより良好である、ギアスが状態を観察する、風が船を押してくれている、漕ぎかたらの漕力に力を貸す、船足の増速が感じられる、ギアスは嬉しかった。
 東進しはじめて一刻、二つ目の大きい半島岬の突端を通過する。風が強まってきている、太陽を仰ぎ見て頃合いを計る、漕ぎかたらに声をかけた。
 『漕ぎかた、やめっ!帆走する!』
 指示が飛び、船は風頼みの航走をする。
 『一同、帆走で行く!あと一刻余りで我らの浜に着く!』
 『おうっ!』
 漕ぎかたらが声をあげる。
 ギアスがオキテス隊長に状況を伝える。
 『隊長、ただいま、二つ目のでっかい半島岬の突端を通過しました。船は、いい風を帆にはらんで帆走しています。この頃合いの通過ですから、あと一刻余りで浜に着きます』
 『おう、そうか、解った!走りは順調だな』
 『はい!』
 オキテスがスダヌスに声をかける。
 『浜頭、いま、ギアスから状況の説明があった。あと一刻余りで浜に到着する』
 『そうですか、帰ってきましたか。四日間、長い航海でしたね。一同、頑張ってくれました。彼らの懸命の漕ぎがなかったら為すことができなかった業務の遂行です。オキテス隊長、新艇納入業務遂行の快挙、おめでとうございます』
 『おう、スダヌス浜頭、よくぞ力を貸してくれた。心から礼を言う。ありがとう!』
 二人は、互いの手を力を込めて握り合った。
ジャンル:
小説
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